2012 Fiscal Year Research-status Report
訪問看護の質を反映した新たな報酬体系のあり方に関する研究
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24660061
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
福井 小紀子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (40336532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 淳子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (10553563)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 訪問看護 / 報酬 / 質評価 / 患者状態像 |
Research Abstract |
2年計画の1年目では、①国内外の産業や他の学問分野における質管理・質評価に関する系統的文献検討、②国際標準化機構ISOでの質保証に関する専門家へヒアリング、③米国・英国における患者単位の包括報酬制度の導入経緯と課題についての情報収集、及び④訪問看護利用者のデータ提示の協力が可能な5事業所の管理者5名とケアの質の要素と報酬体系との関連性に関する討議を重ね、訪問看護の質を反映した将来的な報酬設定に繋がる「ケア枠組み」を考案した。 上記のプロセスにて、「ケア枠組み」として、利用者単位で考慮した場合、A. 訪問看護の量(訪問回数、訪問時間)、B. ケアの困難度(主疾患、副疾患(認知症の有無、看護師による週4回以上のインスリン注射の必要性の有無)、時期、病期、状態(不穏・問題行動の有無、包括的呼吸器ケアの必要性の有無、状態不安定の程度)、ADL、訪問頻度、利用保険、訪問看護の加算算定状況、医療機器の装着状況、介護力、他機関・他職種との連携状況、家族調整状況、コミュニケーション上の問題の有無)、およびC.訪問看護への報酬(収益)の3要素を選定した。今後は、利用者単位の視点に加えて、D.訪問看護から出ていく費用(人件費、教育費、維持費、設備投資費など)を含む事業所単位の要素も検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年計画の本研究の初年度は、当初予定していた内容を順調に進めることができた。すなわち、関連分野に関する系統的文献検討、質保証の取組みに関する専門家へヒアリング、米国・英国における患者単位の包括報酬制度の導入経緯と課題についての情報収集、及び訪問看護利用者のデータ提示の協力が可能な5事業所の管理者5名とケアの質の要素と報酬体系との関連性に関する討議の4つを実施し、訪問看護の質を反映した将来的な報酬設定に繋がる、訪問看護の量、ケアの困難度、および訪問看護への報酬(収益)の3要素からなる「ケア枠組み」を考案することができた。 この成果を基に、平成25年度は、「ケア枠組み」に従い、訪問看護5事業所の6か月間の全利用者のケア提供の“質”と“量”と“報酬額”をデータセット化し、これらの関連性を分析する。そして、この分析結果を根拠に、質管理の視点を導入する場合の現行報酬体系の課題を抽出し、質を考慮した我が国の訪問看護の報酬体系のあり方を提案する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に作成した訪問看護の「ケア枠組み」を基に、訪問看護利用者のデータ提示の協力が可能な5事業所の管理者5名の協力を得ながら、①利用者個々のケアの量と質を踏まえたサービス提供データ(訪問時間、頻度、連携や時間外調整と労力、疾患・症状・ADL・家族介護状況、必要となるケアと処置、その困難度と専門性、満足度等)、②事業所の体制・環境要因(利用者の特徴、管理者・看護スタッフの力量、事業所内外のサポート体制、地域性、他職種の充足度等)、および③実際に得られる報酬額について、5事業所の6か月間の全利用者を対象としたデータセットを作成する。そして、これらのデータセットを用いて、“提供した訪問看護サービスの質”と“量”と“現行報酬(収益)”との関連性について、利用者単位及び事業所単位で分析する。そして、この結果を基に、現状の課題を抽出するとともに、質を考慮した我国の訪問看護の報酬体系のあり方を提案する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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