2013 Fiscal Year Annual Research Report
注視点駆動型の映像とのインタラクションによる没入感の向上
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24680009
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
長 篤志 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (90294652)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グラフィクス / 投影法 / 視覚心理 |
Research Abstract |
本研究は,1)主観的な空間知覚の再現,2)注視点移動に伴う観察者と画像との無意識的なインタラクション,の2つに着目し,コンテンツに依存しない形での無意識的な観察者と画像のインタラクション形成による質的な没入感の向上を図る画像提示技術の提案をすることを目的とした. 平成25年度は,1)注視点移動に伴う消失点の移動モデルを二点透視図,三点透視図へと拡張,2)注視点駆動型の「見たまんま写るんです」画像における主観的消失点を実現するリアルタイム画像生成システムの開発,3)生成画像の評価,以上の3テーマを実施することを計画した. テーマ1では,二点透視図の対象となる風景を対象に,見えの消失点に関する心理実験をおこなった.その結果,見えの消失点が物理的な消失点とは異なることが明らかになるとともに,特定の風景であれば,そのずれに法則性があることがわかった.テーマ2では,アイマークレコーダ―とパーソナルコンピュータを組み合わせて,リアルタイムに注視点に応じた画像を提示するシステムを開発した.また,注視点に応じて変化する主観的な消失点を再現する画像提示方法を4種類開発した.テーマ3では,テーマ2で開発したシステムを用いて,一点透視図の対象となる風景を対象にして,注視点駆動型の画像提示装置が観察者に与える影響について実験をおこなった.その結果,開発システムを用いて主観的な注視点を再現することが,風景の観察において,リアリティなどの向上をもたらすことがわかった. 本年度に得られた知見をさらに拡張することにより,質的により没入感が向上する画像提示技術が開発できる可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度のテーマ1として「1)注視点移動に伴う消失点の移動モデルを二点透視図,三点透視図へと拡張」を計画していたが,実際には,二点透視図に関する実験を行うに留まった.また,二点透視図に関する実験も,数多くの風景に対して実験が行えていないため,現在提案している二点透視図における主観的消失点の移動モデルの適用範囲が限定されている.以上の点において,本研究計画は遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,二点透視図における主観的消失点の移動モデルを完成させるべく,二点透視図に関する実験を数多く行うことを計画している.そして,そのモデルを平成25年度に開発した注視点駆動型の画像提示装置に実装し,その効果を確認することを計画している.当初の計画では,三点透視図における主観的消失点の移動モデルの構築を予定していたが,これまでの2年間の経験により研究期間が十分ではないと判断し,三点透視図が必要な風景に関しては,本研究の射程範囲外とする.三点透視図法的な風景に関しては,二点透視図法的な風景に関する注視点駆動型画像提示装置の知見があれば,それを同様に拡張すれば実現可能であると予想される.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に計画していた3つのテーマのうち,1つのテーマの実験の回数が,予定よりも大幅に少なくなってしまった.これは,実験の困難さに伴う実験準備の遅れ,天候の影響を受けて思った通りに実験が実施できなかった事,実験参加者が集まらなかった事が原因である.その結果,実験参加者への謝金支払が計画通りに執行されなかった. 平成25年度には,数は少なくなってしまったが実験のノウハウを蓄積することができた.そこで,平成26年度は,組織的にかつ継続的に実験を実施することを計画している.そして,その実験に必要な謝金を平成25年から繰り越して使用する.
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