2014 Fiscal Year Annual Research Report
吃音の流暢性促進プログラム開発:神経科学的理解のセラピー法との融合
Project/Area Number |
24680025
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
豊村 暁 群馬大学, 保健学研究科, 講師 (90421990)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 吃音 / 神経メカニズム / 流暢性促進 / 対面会話 / 有症率 / fMRI / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は脳計測・行動計測を多角的に行い、吃音話者と非吃音話者の神経活動や行動特性を明らかにすること、また、それらの特性と発話の非流暢性のメカニズムとの関係を推測することで、吃音のより効果的な流暢性促進法につなげることを目的とする。 吃音話者は相手や場面によって流暢性が変化する、状況依存的な症状を呈する。本研究では核磁気共鳴画像装置(MRI)の中で被験者が他者と擬似的に対面した状態で会話する際の脳活動計測法を確立し、データを取得した。解析の結果、情動に関連する部位や、前頭葉、大脳基底核などで特徴的な活動が見られた。また、不安感などの心理指標についても話者群間で違いが見られた。 両手指協調運動課題を吃音者・非吃音者に課して、吃音者の運動特性を調査した。各話者群についてそれぞれ数十名のデータが得られたが、これまでのところ結論まで至っておらず、今後解析法や実験方法について再検討が必要である。その他、メトロノーム法を用いた8週間の流暢性促進練習における脳活動の変化について国際誌に投稿し掲載された(NeuroImage, 2015)。脳波計測についてパイロット実験をスタートした。 発吃から数年以内における流暢性促進法や環境の調整などの対応の有無が、生涯の吃症状に大きな影響を与えることを考えると、まず小児期における吃音の有症率を具体的数値として把握することが重要と考える。本年度、比較的人口の出入りが少ない離島地区において先方の協力を得て調査を行った。このデータと以前別の地域で得たデータの違いについて比較する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たな脳機能計測実験の準備が遅れていること、取得済みデータの解析が終了していないこと、論文投稿に伴う再解析に予想以上に時間を要したことなどによる。
|
Strategy for Future Research Activity |
脳計測実験の準備を進める。対面会話のfMRI実験や有症率に関するデータについて解析を進める。疫学調査を継続する。吃音の勉強会等を通じて吃音当事者や関係者と議論する場を設ける。
|
Causes of Carryover |
補助金分は予定通り支出しているが、基金分は慎重に支出しているため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験装置類、研究補助員や被験者等の人件費・謝金、研究代表者および共同研究者の出張費、英文校正料、その他消耗品等を予定している。
|
Research Products
(5 results)