2015 Fiscal Year Annual Research Report
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24680044
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
保前 文高 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (20533417)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知神経科学 / 発達脳科学 / 言語獲得 / 語彙 / 脳機能計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、乳幼児が語彙を獲得する過程とその基盤となる神経メカニズムを明らかにすることである。ボランティアでご協力いただく乳幼児を募集し、研究の趣旨を乳幼児の保護者に説明した上で、同意書に記入いただいた方を対象に質問紙調査と視線計測、脳波計測をおこなった。昨年度に引き続いて本年度も、のべ約130名の乳幼児に、研究に参加していただいた。 研究課題としては、既知語と未知語の検出について検討することを継続して進めた。乳幼児が理解・産出している語彙を保護者に対する質問紙を用いて引き続き調査した。質問紙調査の結果から、月齢に応じて語彙数の増加が見られるが、特に15か月から18か月の間に、大きな個人差が現れるきっかけとなる時期がある可能性が見出された。縦断的な調査も継続しておこなっており、複数回調査にご協力頂いた結果を分析した。視線計測に関しては、質問紙調査の結果をもとにして、乳幼児の理解の程度が高い語を選び、その語に対応する画像を提示しながら音声で単語を提示した。その結果、未知語の場合には瞳孔径の変化が大きくなる傾向が現れたが、月齢に応じて変化することも明らかになった。語彙数との関係性を調べた結果、保護者の認識による既知か未知かの判断とは必ずしも一致しない傾向が認められ、乳幼児を主体とした計測をすることが極めて重要であることが明らかになった。 リアルタイムフィードバックシステムを乳幼児に適用しながら、視線と脳波の同時計測をおこなった。得られた脳波のデータについては、解析法を新たに開発しながら進めた。瞬目に注目して視線計測のデータと脳波のデータのそれぞれの時系列を合わせ、音声提示などの事象に関連した電位の変化をとらえた。得られた研究結果は、学会や研究会で報告した。また、一般公開のフォーラムを開催して、研究にご協力頂いた保護者にご参加頂いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、視線計測と脳波計測を乳幼児に適用して言語獲得に迫ることである。そのためには、研究に参加していただく乳幼児のボランティアを募集することが必須であるが、前年度までと同様に、これまでに確立した方法によって多数の乳幼児と保護者に協力して頂いた。質問紙調査と視線計測を中心にして既知語と未知語、新規語について複数の課題で検討を進めることができた。また、リアルタイムフィードバックシステムにより、視線位置、瞳孔径と脳波の同時計測を行うことが順調に進められており、解析結果を学会や研究会で報告した。また、一般公開のフォーラムを開催することも実現した。生後15か月から18か月の幼児を対象とした調査を継続する重要性が判明するなど、全体として、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
目的をより精緻に達成するために、最終年度を延長して15か月から18か月齢を対象とした調査を継続する。乳幼児はボランティアでご協力いただく研究協力者を募集し、研究の趣旨を乳幼児の保護者に説明した上で、同意書に記入いただいた方を対象に質問紙調査と計測をおこなう。また、これまでに得られているデータをまとめて、学会発表や論文として報告する予定である。研究に協力をして下さったご家族には、従来通りに研究の報告をニューズレターの形でお伝えする予定である。今年度末にも一般公開のフォーラムを開催することを検討する。
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Causes of Carryover |
直接経費次年度使用額が生じたのは、計測が順調に進み、計測機器類、および、コンピューター類の修理や新規購入をせずに運用することができたためである。また、データの取得に専念したため、国内外の出張を控えたことも理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度延長の申請をした通りに、15か月から18か月齢を対象とした調査を継続するための費用として使用する。また、研究の結果を発表して、成果に関連した議論をするために国内外への出張をする予定にしている。
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[Presentation] 言語獲得の発達脳科学2015
Author(s)
保前 文高
Organizer
日本科学哲学会第48回大会
Place of Presentation
首都大学東京、東京都八王子市
Year and Date
2015-11-21 – 2015-11-21
Invited
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