2013 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞由来始原生殖細胞を用いた新規発生工学技術の開発
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24680045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大田 浩 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50391892)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 始原生殖細胞 / ES細胞 / 培養 / 精子形成 |
Research Abstract |
マウスにおける始原生殖細胞(primordial germ cell; PGC)の試験管内培養系を確立するため、本年度はES細胞から試験管内で分化誘導した始原生殖細胞(PGC-like cell; PGCLC)を用いた培養系の確立を下記の実験により試みた。 1: PGCLCの増殖を促進する化合物を用いた培養系確立の試み PGCLCを用いたchemical library screeningを平成24年度に実施し、PGCLCの増殖を促進する化合物を見出している。本年度はこれらの化合物と栄養因子を組み合わせることにより培養系の最適化を行った。その結果、PGCLCを試験管内で一時的に増殖させることのできる培養条件を見出した。また、培養したPGCLCの分化状態を調べたところ、移動期PGCの性質を保有していることが示唆された。 2: 試験管内で増殖させたPGCLCの機能評価 試験管内で増殖させたPGCLCの機能評価を精細管内移植法により試みたところ、レシピエント精巣内で移植した細胞由来の形態学的に正常な精子形成を観察することができた。このことから、試験管内で作用させた化合物および栄養因子がPGCLCの機能を阻害することなく増殖させることが明らかとなった。今後、顕微授精もしくはレシピエントマウスを交配させることによりPGCLC由来の子孫が産まれるかどうかを検討し、試験管内で増殖させたPGCLCの最終的な機能評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでPGCの解析はその数が非常に少ないことにより解析が非常に困難であった。本研究課題ではこの問題をES細胞からPGCLCを誘導することにより解決を試み、現時点でhigh-throughputのchemical library screeningを実施することに成功している。また、screeningにより見いだされ化合物を用いることにより、PGCLCを一時的に増殖させることのできる培養系を確立した。さらに、この培養系により増殖させたPGCLCは精細管内に移植すると精子形成を行うことが可能であり、正常な分化能を保持していることが示されている。以上の理由により当初予定していた計画に沿って実験が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、現在の培養系で増殖させたPGCLCの詳細な解析を分子生物学的解析により行う予定である。この実験により培養されたPGCLCがどのような状態にあるのかを知ることができると考えている。 また、現在確立した培養系をもとに、さらなる培養系の改善を試みる予定である。具体的には、増殖させたPGCLCの継代方法の検討、他の化合物・栄養因子の添加による培養系の改善などを計画している。これらの実験により、長期的なPGCLCの培養系の確立を目指し、新規の発生工学技術の開発に繋げたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画していた遺伝子発現解析を次年度に行いたいと考えたため。 計画していた遺伝子発現解析を本年度行う予定です。
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Research Products
(1 results)