2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトES/iPS細胞の自己複製・分化誘導機構の解明と化学合成培養システムの開発
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24680052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 光一 京都大学, 物質ー細胞統合システム拠点, 講師 (50378890)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生物・生体工学 / 再生医学 / 生体材料 / 組織・細胞 |
Research Abstract |
平成24年度には、DYRKのヒト未分化幹細胞(ES細胞・iPS細胞)の自己複製・未分化性維持における分子機構の解析を行った。また、情報収集により、多数の競争相手の存在が確認できたため、本来は平成25年度に行う予定であったWnt分子を置換可能な化合物のスクリーニングと新規培養システムの開発を優先して行った。 ①DYRKの機能解析。DYRKの機能について、様々なシグナル阻害剤や増殖因子、遺伝子等を用いて解析を行った。その結果、DYRK阻害剤ID-8による自己複製には、これまで自己複製に必須とされてきたbFGFやTGFβシグナルが、自己分泌性のbFGFやTGFβシグナルもふくめて関与しないこと、この自己複製は、古典的なWntシグナルのみに依存し、非古典的なWntシグナルには依存しないことを見出した。また、ID-8によってDYRK陽性の顆粒が細胞質から核内に移動し、転写補助因子CBPと古典的なWntシグナルの下流に位置するβ-カテニンが核内に濃縮され、未分化維持転写因子OCT4とβ-カテニン/CBP/OCT4の複合体を形成していること、を見出した。 ②Wnt分子を置換可能な化合物のスクリーニング。①の結果を受け、古典的Wntシグナルを活性化可能な化合物群を、市販品の購入、論文で発表された分子の取寄せ、研究協力者からの提供などで集め、てスクリーニングを行った。その結果、古典的Wntシグナル経路の一部を活性化可能な化合物(市販品)によって、Wnt分子を置換可能であり、ID-8と共に用いることで安定にヒト未分化幹細胞を培養可能なことを見出した。 ③新規培養システムの開発。②の結果を基に、培養液成分、浸透圧、細胞外基質、継代方法の検討を行い、新規の培養システムの開発を行った。その結果、これまでに報告されているどの培養システムよりも、シンプルで安価で品質管理の容易な培養システムの開発に目処をつけることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部当初の予定を変更して、平成25年度に予定していた研究を優先し平成24年度に行い、平成24年度に予定していた研究が平成25年度に遅延する事になったものの、H24年度に行った全ての研究において、きちんと成果は得られており、目標を達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に予定していた①DYRKの標的分子の同定、ならびに②Wnt経路の転写複合体の解析とWnt経路による遺伝子発現変化の網羅的解析を平成25年度前半に行う。平成25年度後半はは、③新規培養システムのプロトタイプ開発とそのテストを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
情報収集により、多数の競争相手の存在が確認できたため、本来は平成25年度に行う予定であったWnt分子を置換可能な化合物のスクリーニングと新規培養システムの開発を優先して平成24年度に行い、平成24年度に予定していたDYRKの標的分子の同定ならびにWnt経路の転写複合体の解析とWnt経路による遺伝子発現変化の網羅的解析を平成25年度に行うこととしたため。 平成24年度に予定していたDYRKの標的分子の同定、ならびにWnt経路の転写複合体の解析とWnt経路による遺伝子発現変化の網羅的解析を平成25年度前半に行う。
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