2012 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群の克服を目指した新規ナノメディシンの開発と有効性・安全性評価
Project/Area Number |
24680053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉岡 靖雄 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (00392308)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノメディシン / メタボリックシンドローム / フラーレン / 慢性炎症疾患 / 安全性 |
Research Abstract |
近年、ナノメートルサイズの物質(ナノマテリアル)が新規開発され、工学・薬学・医学分野において、21世紀産業の根幹を担う素材として期待されている。特に、ドラッグデリバリーシステムへの応用による、ナノメディシンとも言うべき新たな治療戦略に注目が集まっている。その中でも、炭素原子60個が切頂二十面体構造に結合したC60フラーレンは、圧倒的な抗酸化活性に起因する抗炎症作用を有しており、ナノメディシンの筆頭として注目されている。一方で近年、肥満が体内に微弱な慢性炎症を惹起し、全身のインスリン抵抗性に引き続き、メタボリックシンドロームを次々と誘発することが示唆され、メタボリックシンドロームを慢性炎症疾患として捉える必要性が提唱されている。従って、強力な抗酸化剤、抗炎症剤が有効な治療薬になり得ると期待されているが、未だにメタボリックシンドロームに適用した報告は無いうえ、慢性炎症疾患として捉えた研究開発も乏しいのが現状である。そこで本研究では、申請者らの"C60フラーレンの慢性炎症疾患に対する非侵襲的治療戦略"に関する知見を発展させ、医用工学的に合成したC60フラーレン誘導体の構造活性相関を明確にしたうえで、安全性を精査すると共に、メタボリックシンドロームへの適用を図ることで、有効性と共に安全性をも高度に保証された「経口投与型ナノメディシン」の開発に先駆け挑戦するものである。平成24年度には、C60フラーレン誘導体のメタボリックシンドロームに対する治療効果を検討した。近年、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が、新たな疾患として注目されており、その治療戦略の開発に注目が集まっていることから、メタボリックシンドロームのモデルとして、NASHモデルマウスを用いて、C60フラーレン誘導体の治療効果を検討した。その結果、C60フラーレン誘導体の経口投与により、肝臓障害の有意な軽減、炎症の軽減など、優れた治療効果が観察された。そこで平成25年度には、C60フラーレン誘導体のNASHモデルマウスにおける治療効果をより詳細に検討すると共に、in vitroにおける検討も実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度には、本研究の最も肝心な検討項目である、メタボリックシンドロームに対する治療効果を検討し、既存薬との比較検討が必須であるものの、C60フラーレン誘導体が顕著な治療効果を発揮可能であることを見出した。そのため、予定通りに研究は進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、大きな問題も無く順調に進んでいることから、今後も、当初の予定通り研究を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に動物実験を予定していたものの、動物の在庫状況などを鑑み、平成24年度の実施ではなく、平成25年度に使用することとした。
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