2012 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤ナノ結晶点眼液による網膜疾患治療法の革新的研究開発
Project/Area Number |
24680054
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 耕一 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (00436172)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | ナノバイオ材料 |
Research Abstract |
(研究の目的)眼科学では侵襲性の高い網膜疾患治療に対し高度な改善と進展が期待できる低侵襲性な点眼薬物療法への研究開発に強い関心が寄せられている。本研究課題遂行にあたり、第一に安定な水分散性を有する薬剤ナノ結晶点眼液の作製を行う。第二に網膜疾患モデル動物を用いて薬剤ナノ結晶点眼液の詳細な薬理効果の検証を行う。革新的な薬剤ナノ結晶点眼液の研究開発の成果を最終年度(H25)に知識体系化する。 (平成24年度研究実施計画)1.水安定分散性に優れた薬剤ナノ結晶点眼液の作製と構造物性評価 【薬剤ナノ結晶点眼液の作製】薬剤ナノ結晶点眼液の作製には有機ナノ結晶の作製法である再沈法及びスプレードライヤー法を基盤技術に用いた。結晶サイズ及び構造が制御された抗炎症剤であるステロイドおよび神経保護薬のカルパイン阻害剤のナノ結晶化に成功した。比較検証用の薬剤マイクロ粒子懸濁点眼液は超音波破砕法等により作製した。 【構造物性評価】薬剤ナノ結晶点眼液の粒子サイズ・構造物性・水分散安定性および光学特性は、電子顕微鏡、粉末X線回折、吸収・蛍光スペクトル測定装置および本年度購入した粒子径・ゼータ電位測定装置により評価した。 2.網膜疾患モデル動物における薬剤ナノ結晶点眼液の眼内移行性評価 網膜変性マウスを用い、初の試みに位置づけられるカルパイン阻害剤ナノ結晶点眼液による網膜変性症の治療効果を検証した。またヒト内因性網膜ぶどう膜炎のモデルとして広く研究に利用される実験的自己免疫性網膜ぶどう膜炎(EAU)を用いナノ結晶点眼液の有意性を検証した。【眼内移行性評価】高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い点眼液の眼内移行性を評価した。点眼液をマウスの片眼に点眼し所定の保持時間後、マウスに麻酔をかけ眼内の前房水を注射器で採取。HPLCにより薬物濃度を測定した。上記全ての研究項目において一定の成果を得ることに成功した。特許申請準備のため詳細な記載は控える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画を十分に考慮して立案したため、現実的に実行可能な実施計画であった。また研究実施についてコンスタントにエフォートを注いだことで順調に研究成果を得ることに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
予定通り平成25年度の研究実施計画に沿い進めることで問題ないと考える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初平成24年度の中期頃を目処に研究補助員1名の雇用を検討したが、研究課題遂行に対して最適な研究補助員の該当者がなく、結局雇用にあたっては平成24年度の後期からとなった。そのため平成24年度に執行を予定していた人件費・謝金の主を直接経費次年度使用額として平成25年度に繰り越した。平成25年度においては、補助金及び基金助成金とあわせバランスよく物品費・旅費等および人件費・謝金に割り当てる予定である。予算の使用に関連して、研究期間全体を通しての研究遂行上の問題・支障はない。
|
Research Products
(4 results)