2014 Fiscal Year Annual Research Report
安全かつ低消費電力な高機能福祉システムを実現するハイブリッド型運動制御手法の構築
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24680062
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平田 泰久 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20323040)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / 福祉ロボット / 人間支援 / ブレーキ制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,ロボット技術を用いることで,車いすや歩行器などの福祉機器の高度化を目的とした研究開発や上肢・下肢のリハビリテーションを行う運動支援システム(ハプティックデバイス)の研究開発が盛んに行われている.一般に従来のロボット技術では,福祉機器やハプティックディバイスにサーボモータを取り付け,それらを能動的に駆動することで様々な機能を実現する.しかし,本研究では,福祉システムを常にパワーアシストで駆動させるようなアクティブ型システムを目指すのではなく,人間の力で動かされるパッシブ型福祉機器を基盤とし,ブレーキ制御にて危険回避などの多くの機能を実現するとともに,ブレーキ制御では支援できない一部の状況でのみ回生されたエネルギーを用いて補助的な能動支援を行う運動制御手法の構築を目指す. 本年度は,昨年度開発した2次元平面内で動作支援を行うブレーキ制御型ハプティックデバイスを拡張し,3次元空間内での動作支援を実現するシステムを開発した.また,複数のブレーキを用いて動作支援に必要となる適切なブレーキ力を発生させる運動制御手法を開発した.多くのブレーキを用いた場合,ブレーキ発生可能領域の解析は非常に複雑になることから,数値解析手法を利用することにより,適切なブレーキ力を導出する手法の構築を行った.また,ブレーキのみでは不十分な支援機能を拡張するため,回生ブレーキによって回収されたエネルギーを再利用し,安全性を維持しつつモータを補助的に使用する運動制御手法を開発した.特に,どのよな状況で能動的な動作が必要であるのかを推定するために,人間の操作力や運動情報を用いて人間の状態を推定する手法の構築を行った. 構築した制御アルゴリズムやそれらを適用した人間支援システムに関して成果を取りまとめ,国内学会,国際学会にて発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はブレーキを用いてシステムを制御するにあたり必要なブレーキ制御可能領域を導出し,その領域から適切なブレーキ力を決定する手法を確立した.これにより,移動体やハプティックデバイスなど,システムの形態に関わらず運動制御を実現することが可能となり,その有効性を実機を用いた示すことができた.また,人間の観測情報から人間の重心位置や関節角度などを推定することで人間状態を推定する手法を提案することができ,より効果的な人間支援が実現できるようになったと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本年度までに開発してきた回生ブレーキを用いた運動制御手法を適用した移動支援システムやリハビリテーション等に応用可能なハプティックデバイスの有効性を検証する評価実験を行うとともに,抽出された問題点の改善を実用的な観点から行っていく.そして,実際の高齢者や障害者への適用を想定した実験を行う.また,提案する回生ブレーキを用いた運動制御手法は,高い安全性と低消費電力から早期の実用化が期待でき,応用範囲は高齢者や障害者の支援・リハビリテーションだけではなく非常に多岐にわたると考える.そこで,今後は様々な応用範囲を想定し,実機への適用を検討することで,研究成果の幅広い分野への還元を目指す.
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Causes of Carryover |
今年度の研究を効率的に推進したことに伴い,次年度使用額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度請求額とあわせて,平成27年度の研究遂行に使用する予定である.
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