2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24680066
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀧澤 一騎 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (90410258)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パフォーマンス / ストレッチ / 有酸素性作業能 / 運動持続時間 / 酸素摂取量 / 血中乳酸値 |
Research Abstract |
ウォーミングアップ(W-up)は主運動のパフォーマンスに好影響を及ぼす.しかし,運動前におけるスタティックストレッチは腱の弾性を低下させ,パフォーマンス低下につながるとする報告が散見される.これらの報告はジャンプやスプリントのような瞬発的な運動や最大運動(100%VO2max)で検討されており,W-upやスタティックストレッチが最大下運動のパフォーマンスに及ぼす影響は明らかではない.本研究では,5000m走を想定した90%VO2max強度の走運動において,W-upやストレッチがパフォーマンスに及ぼす影響を検討した. 被験者は日常的に長距離走のトレーニングを行っている男子大学生7名とした.条件はウォーミングアップ・ストレッチ共に無し,70%VO2maxで15分間のW-up,スタティックストレッチのみ,70%VO2maxで15分間のW-up後にスタティックストレッチ,という4つとし,それぞれの処置の5分後に90%VO2maxでの走運動を継続できなくなるまで行った.被験者らはすべての条件をランダムな順序で実施した.なお,スタティックストレッチは股関節屈曲筋群,股関節伸展筋群,膝関節屈曲筋群,膝関節伸展筋群,足関節底屈筋群の5筋群それぞれを自分自身で伸張させるものとした.また,90%VO2maxの走運動持続時間をパフォーマンスとして評価した. 結果として,被験者内で運動持続時間が最長となった条件は,CONが1名,WUが1名,STが2名,W+Sが3名であったが,運動持続時間は条件間で差が認められなかった.昨年度の成果において,W-upの有無や強度の違いによって本研究と同強度の主運動パフォーマンスは影響を受けないことを報告したが,ストレッチの有無についてもパフォーマンスは変化しないことが明らかとなった.したがって,90%VO2max強度の走運動パフォーマンスはW-upやストレッチの有無によって変化しないと言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度,平成25年度共に計画していた実験を遂行することができている.得られた結果は仮説と異なる部分もあったが,複数の学会で成果を発表しており,陸上競技の競技会でも研究結果を還元する機会が得られた.しかしながら,学術誌に論文として投稿段階にあり,いまだ成果の掲載には至っていないため,その点については今年度さらに進める必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では平成26年度はウォーミングアップによって遅発性筋痛を抑制することができるか否かについて検討する予定であった.平成24年度,平成25年度と同様に比較的鍛錬された被験者において複数の条件を行わせる計画であったが,これまでの実験では被験者に遅発性筋痛はほとんど起きておらず,同様の対象に複数条件を行っても意図する成果は得られないと考えられる.したがって,これまでの実験とは方法を変えて,非鍛錬者を群に分けた上で,各群に種々のウォーミングアップ(ウォーミングアップ無しも含む)を行わせて,そのときのパフォーマンスと後の遅発性筋痛の推移を検討する,というように小幅な計画変更を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末(3月)に執行した部分に関して精算が4月以降となっているため,見た目上の次年度使用額が発生している.実際には既に執行済みである. 平成26年3月に使用しているので,4月で精算される予定である.
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