2013 Fiscal Year Annual Research Report
高速計算を用いた力学的ストレスのリアルタイム評価に基づく下肢障害の予防と訓練
Project/Area Number |
24680067
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長野 明紀 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (30392054)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | バイオメカニクス / 走行動作 / 歩行動作 / 生体計測 |
Research Abstract |
今年度は主として下記3つのトピックについて研究を推進し成果を挙げた。 (1)初年度に開発したバイオフィードバックの技術を用いて、踵接地時の衝撃力を低下させる走行動作を被験者にトレーニングして頂いた。その後にこの動作のバイオメカニクス的特性を明らかにした。手法としてはモーションキャプチャーを用いた。得られた床反力データと身体のキネマティクスデータから逆動力学解析を実施して、関節で発揮されるトルクおよび筋張力を計算した。これにより、踵接地時に衝撃力を低下させる場合には足関節底屈筋群がより顕著な活動をし、足関節においては底屈モーメントが発揮され、爪先に近い位置で接地が行われる事が明らかとなった。 (2)歩行動作を実施している際の身体分節の加速度を、小型・軽量・ウェアラブルな無線センサを用いてリアルタイム計測した。このデータを解析することで、歩行動作時に身体に作用する力学的ストレスを詳細に評価することが可能となった。また床反力に由来する衝撃力とこれらのデータを統合して処理することで、関節構造を経過する毎に衝撃が緩和されていく様相が明らかとなった。 (3)ランニング動作をしている際の心拍数をリアルタイム計測し、これに基づいてトレッドミルの速度を制御するシステムを構築した。安静時においても運動時においても心拍数にはゆらぎがあることが知られているが、本研究ではこれらのゆらぎの影響を受けずにロバストに運動強度を調整できるアルゴリズムを開発した。これによってダイナミックに運動強度(走行速度)を調整し、目的とする運動プログラムを実施できる様になった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに開発したバイオフィードバックの技術を活用し、フィードバックトレーニングを行うことでどのように動作特性が変化するかを明らかにした。また、より拘束の少ない環境でのデータ取得を可能にするため、ウェアラブルなセンサを用いた研究にも取り組み、成果を挙げた。さらに心拍数を考慮することで生理学的なストレスについても考察を行える様にした。 成果は既に複数の論文や国際・国内学会発表としてまとめており、これは当初の計画以上に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は走行動作において、身体各部位に作用する力学的ストレスの様態と走行速度との関係を明らかにする。身体各部位に作用するモーメントや衝撃力の値の大きさだけでなく、値の変動性にも着目し、より負荷の少ない走行トレーニングを可能にするシステムを構築する。床反力計を内蔵するトレッドミルと、小型・軽量・ウェアラブルな慣性センサを用いてリアルタイムな計測と評価を実現する。 また、平成26年度は本研究の最終年度であるため、多数の被験者を用いた検証実験も実施する。これまでに開発したシステムや計測・評価アルゴリズムの有効性を検証する。
|