2015 Fiscal Year Annual Research Report
長期間の運動トレーニングが器官組織レベルの身体組成と基礎代謝量に及ぼす影響
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24680069
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
緑川 泰史 桜美林大学, 総合科学系, 講師 (50434345)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 身体組成 / 基礎代謝量 / トレーニング / 骨格筋量 / MRI / チャンバー |
Outline of Annual Research Achievements |
理論的な視点から考えると、運動トレーニングで基礎代謝量を高める手段の一つに、器官・組織のエネルギー代謝率(kcal/kg/day)を上昇させる方法がある。除脂肪量の増減がほとんど起こらない持久性トレーニングを実施したこれまでの先行研究によると、実際、器官・組織のエネルギー代謝率が上昇する可能性についても報告されてきた。しかし、最近の研究によると、このエネルギー代謝率の上昇は一過性のものであり、トレーニング48時間後には消失してしまう現象であることが指摘されている。このことから、昨年度に引き続き、持久性トレーニングを継続している若年者を対象に、器官・組織のエネルギー代謝率(kcal/kg/day)が有酸素能力によって左右されるのかを再確認した。その結果、最大酸素摂取量60ml/min/kg前後の有酸素能力を持つ若年者では、器官・組織のエネルギー代謝率は恒常的に増加しないことが示唆された(この研究内容は本年度Nutrientsにアクセプト済み)。 また、運動トレーニングによって除脂肪量が10kg以上増加することが期待できる大学相撲部員を対象に測定・分析を継続的に実施し、これまで21名の横断的データ、そして11名の縦断的なデータを蓄積した。加えて、本研究に付随して、器官・組織レベルで身体組成を評価するために、超音波法による全身および部位別の骨格筋量推定式を作成した(この研究内容は本年度British Journal of Nutritionにアクセプト済み)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年前に測定を実施した対象者の運動トレーニング後における再測定を実施でき、これまでで11名の縦断的なデータを取得した。また、持久性トレーニングを継続している若年者を対象に、器官・組織のエネルギー代謝率(kcal/kg/day)が有酸素能力によって恒常的に増加するのかを確認した論文がNutrientsにアクセプトされた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長し最終研究年度を迎えるが大きな体重変動を観察できていないため、体重増加が著しい相撲部引退時期を見極めながら、測定を実施する予定である。この測定・分析により20名を超える相撲部の長期間の運動トレーニングによる器官・組織レベルの身体組成と基礎代謝量の変化を追うことができる。また、データが出揃った段階で、運動トレーニングによる身体組成と基礎代謝量の関係性について検討し、論文執筆をスタートする。
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Causes of Carryover |
昨年度同様に測定自体は順調に進んでいるものの、長期間の運動トレーニングの身体組成と基礎代謝量への影響を精度高く検討するために補助事業期間を延長し、助成金を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
補助事業期間を延長し最終年度を迎えるため、研究費は主に縦断的なデータを取得するためのMRI分析・血液検査費用、また、学会発表・論文作成のための費用等として支出する予定である。
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