Research Abstract |
本研究の目的は,過去の風成作用を高時間分解能で記録する砂丘堆積物から,東・東南アジアの冬季モンスーンにおける中世以降の数十~数百年スケールの変動を明らかにすることである.地中探査レーダにより砂丘堆積物の内部構造を連続的に明らかにし,地中レーダ断面に基づいて採取したオーガーボーリングによる地下試料に対して光ルミネッセンス年代測定を適用することで,砂丘の発達過程を復元する.平成24年度は,ベトナムMui Ne砂丘での予察調査と,鳥取県北条砂丘での調査,調査機材調達,試料処理実験室の整備,および採取試料の処理,採取済試料の年代測定を予定していた.ベトナムMui Ne砂丘での予察調査については,検討の結果,調査時期が地下水位の最も低下する乾季の終わりである5月が望ましいと判断し,まずはベトナム科学技術院の研究協力者2名を日本に招へいし,調査許可を得るための段取りについて話し合い,調査の計画を練った,その後順調に手続きが進み,平成25年5月に現地調査を行うこととなった.鳥取県北条砂丘での調査については,現地での予察調査を行い,平成25年度に行う探査測線の計画を立てた.また,新しい実験室での年代測定結果を検証するために,試料を鳥取砂丘で採取した.地中レーダの調達は,1月に完了した.OSL年代測定試料処理のための実験機器や実験室については別予算で整備したが,工事や放射線管理区域の設定などに時間がかかり,完成が2月までずれこんだ.OSL年代試料の処理は時間がかかるために測定には至っていないが,まずは,新しい実験室においても,これまでにOSL試料を処理・測定していたSheffield大学と同じ測定値が得られることを確認するため,鳥取砂丘で採取した年代測定試料の処理を始めた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,予定していた本調査や堆積物試料採取などのうち実行できなかったものもあるが,ベトナムMu iNe砂丘の場合は,最適な調査時期を待ったためで,現地協力者を招へいすることで綿密な準備をすることができた.また,北条砂丘についても下見調査を行って,より有効な探査計画を立てることができた.年代測定試料の処理は若干遅れているが,次年度以降に十分挽回可能な程度である.
|
Strategy for Future Research Activity |
H25年度には,多くの現地調査を行う予定で,地中レーダ探査断面データ取得と年代試料採取は順調に進んでいく予定であるが,実験室での試料処理に多くの時間がかかる見込みである.このため,試料処理の補助員を雇用して全体の計画を推進していく.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の未使用分は,ベトナムMui Neの調査に予定していた分と,地中探査レーダシステムの調達が安く上がった分である.この分は,次年度に行うMui Neでの現地調査と,試料処理補助員の給与に充当する.
|