2013 Fiscal Year Annual Research Report
砂丘堆積物を用いた中世以降の東アジア冬季モンスーン変動の検出
Project/Area Number |
24680088
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田村 亨 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (10392630)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | モンスーン / アジア / 砂丘 / 海岸 / 小氷期 |
Research Abstract |
今年度は主に,鳥取県鳥取砂丘,ベトナムMui Ne砂丘,新潟県新潟砂丘,青森県屏風山砂丘での現地調査を行い,また採取試料の年代測定作業を行った. 鳥取砂丘では,4月に,これまでに得られている研究成果を補充する年代測定試料を採取し,また当研究課題に関連する研究成果に基づく巡検案内(第四紀学会)を行った. ベトナムMui Ne砂丘では,5月に,現地での地中レーダ探査とオーガーボーリングによる年代測定試料の採取を行った.地中レーダ探査では,Mui Ne砂丘に発達する横列砂丘のクレストに直交する,それぞれ長さ1.5 kmの2測線,クレストに平行な長さ500mの1測線について断面を得た.これらの断面上から,50点以上の年代測定試料を採取した.このうち,24点について光ルミネッセンス年代測定が終了し,南シナ海の冬季モンスーンによる砂丘の移動が,最近100年間においては平均で約1メートル/年の速度で起こっていただことが明らかになった.モンスーンの変動を表すような移動速度の変化は得られたデータからは検出されなかったが,算出された移動速度は,Mui Ne砂丘の形成過程を考える上で重要な情報である. 新潟県新潟砂丘では,H26年度以降の調査に向けた下見調査を行った.主に,南西部の佐潟周辺の砂丘に注目し,有望な探査測線の見極めを行った. 屏風山砂丘では,砂丘南西部の露頭や,北東部の五月女萢遺跡の露頭において年代測定試料を採取した.五月女萢遺跡では,縄文後期から平安時代までの遺物包含層の上位の砂丘砂において,840年前,620年前の2つの年代が得られた.これらは,当地域における中世以降の砂丘活動期を表している可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗状況により,調査地などが予定とは微妙に変わっている部分もあるが,基本的に日本海沿岸と南シナ海沿岸の砂丘において,当初の計画通りの手法を使い,順調にデータが得られていて,個々の地域について着々と理解が進んでいる.全体的な成果や理解の進展については,H26,H27年度に得られる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り,基本的には日本海沿岸と南シナ海沿岸各地の砂丘において,地中レーダとルミネッセンス年代測定を駆使した現地探査,年代測定を推進し,各地域においてそれぞれ得られる砂丘の活動時期についてのとりまとめを行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が出た理由は,初年度であったH24年度に準備の状況で年度内に行うはずであったベトナムMui Ne砂丘調査がH25年度にずれ込み,H25年度内に2度目を行う予定だったMui Ne砂丘調査が1度しか行われなかったことが主な原因である. H26年度内に,Mui Ne砂丘調査を行うため,この支出にあてる.また,昨年度も一部行ったように,調査の進行状況によって放射性炭素年代測定を外注分析で行う必要が出てきたため,この費用にあてる.
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Research Products
(4 results)