2012 Fiscal Year Annual Research Report
二重特異性抗体を用いた次世代がん間質標的医薬の開発
Project/Area Number |
24680093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
鎌田 春彦 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, サブプロジェクトリーダー (00324509)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子標的治療 / 抗体 / プロテオミクス |
Research Abstract |
理想的ながん治療法の開発に向けての重要な課題の一つとして、がんに共通して発現する分子に対する抗がん剤の開発があげられる。次世代抗がん剤の開発にむけて、がん組織に共通する分子発現の探索が行われているものの、画期的治療法の開発は至っていない。我々はこれまで、独自に同定してきた乳がん細胞特異的に発現するEphA10に対する抗体医薬の開発を目的にした基礎検討を実施してきた。抗EphA10抗体を創製し、その抗がん活性に関する検討を実施してきた結果、動物モデルに対する弱い抗がん活性を確認することができた。しかし、その作用に関しては、未だ不十分な点があり、これらを克服するための方策が期待された。 そこで平成24年度では、このEphA10に対するより抗がん活性に優れた抗体医薬を開発するために、EphA10に結合性を有する二重特異性抗体の作製に向けた基礎検討を行った。まず、我々がこれまで創製してきたハイブリドーマ由来遺伝子より、EphA10に結合する活性を持った一本鎖抗体(scFV)を作製した。また我々が独自に作製してきたナイーブ抗体ファージライブラリを用いてEphA10への結合性を持つ2種類のファージ抗体を見出した。これらの抗体のEphA10に対する結合性を評価するために、フローサイトメトリーならびにELISAを実施し、上記3種類の抗体がそれぞれ結合活性を持つことを確認した。現在、細胞傷害性T細胞抗原であるCD3に対する抗体を作製し終えており、二重特異性抗体の作製を準備しているところである。さらに、プロテオミクス技術を活用したがん血管に特異的に発現する抗原の探索を行った。肺がん組織由来細胞を移植したゼノグラフトモデルマウスに対してIn vivo biotinylation法を利用した新規腫瘍血管特異抗原を同定した。現在、腫瘍組織からのタンパク質の精製を実施しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画のように、ハイブリドーマ由来のEphA10scFV抗体の創製を達成するとともに、ナイーブ抗体ライブラリからの抗体も二種類得る事が出来た。また、CD3に対する抗体の単離も順調にすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテオミクス関連の進捗状況としても、既にモデルマウスからのタンパク質の抽出・精製を終えていることから、当初の計画通り研究が進んでいるものと判断できる。 当初の研究計画を遅滞なく進める予定である。但し、抗体の持つ抗腫瘍効果等を早めに観察する必要が出てくる可能性があるために、平成25年度に動物を用いた抗腫瘍効果に関する検討を実施する可能性がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度では比較的効率よく実験が進んだため、当初よりも少ない見積もり額で研究を進めることができた。平成25年度では、プロテオーム研究における抗原探索研究を加速するために、実験補助を効率的に活用して、研究を進めたいと考えている。
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Research Products
(5 results)