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2013 Fiscal Year Annual Research Report

北太平洋におけるモノハロメタンの時空間的な分布と生成・分解過程の解明

Research Project

Project/Area Number 24681001
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

大木 淳之  北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (70450252)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2016-03-31
Keywords北極海 / ヨードメタン / クロロメタン / ブロモメタン / 植物プランクトン / ハロカーボン / VOC
Research Abstract

北西太平洋から北極海にかけて、海水中モノハロメタンのモニタリングを実施した。2013年6~8月に北海道大学水産学部付属練習船おしょろ丸の実習航海にて、CTD-RMS観測により、海水を鉛直方向に表面から底層まで採取した。海水中の溶存ガスをパージ&トラップ法にて抽出し、ガスクロマトグラフ質量分析計で有機ガスを分離・定量した。また、モノハロメタン濃度の季節変化を捉えるため、北海道噴火湾にて2013年4, 5, 6, 8, 10, 12月,2014年2月に海洋観測を実施した。手法は北極海での観測と同じである。
北極海では、ヨードメタン濃度は低い傾向にあったが、氷縁ブルームの影響と思われる高クロロフィル層では高濃度のピークが確認された。また、底層でも若干の濃度ピークがみられた。いっぽう、北海道噴火湾では、2月から4月にかけての植物プランクトンブルームの間には、ヨードメタン濃度の上昇は僅かであったが、ブルーム後の細胞老化・有機物分解の初期にヨードメタンの濃度が中層と底層で著しく上昇した。同様の傾向は、2012年度にも確認されている。
従来研究では、ヨードメタンは植物プランクトンによる直接的な放出と、海水中での光化学反応により生成されると考えられていた。本観測結果より、植物プランクトンによる直接的な放出のほかに、有機物分解に由来する生成があることが示唆された。また、これまでのヨードメタン観測のデータを集計したところ、低緯度では貧栄養な海域で濃度が高く、高緯度(極域)では貧栄養な海盆域で濃度が著しく低いことがわかった。海域間(温度)の違い、栄養状態の違いにより、ヨードメタンの生成プロセスが異なることが推測された。海洋観測と並行して、植物プランクトン培養によるモノハロメタン生成を調べる室内実験の手法を開発しており、ヨードメタンが有効に回収できることが確認された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定では、本研究期間(4年間)のうち1年目に手法の開発を行い、2年目から海洋観測を実施する計画であった。観測手法の確立は計画通りに進み、予定より早く1年目(2012年度)から海洋観測を初め、2年目(2013年度)も観測を継続している。また、3年目(2014年度)に向けての海洋観測の準備も整えることができた。したがって、海洋観測は予定以上に進展しているといえる。また、観測試料の分析処理も予定通り進んだ。いっぽう、室内培養実験のほうは、2年目に入ってから、手法の確立の目途が立った状況なので、半年から1年間の遅れが見込まれる。したがって、海洋観測と室内培養実験の進展具合を加味して、全体的にはおおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

2014年度は、北海道噴火湾でのモノハロメタンの時系列観測に加え、北西太平洋の親潮・黒潮混合域におけるモノハロメタンの時系列観測を実施する。
北海道噴火湾での時系列観測では、うしお丸による乗船実習に参加して2014年4, 5, 6, 8, 10, 12月, 2015年2月に観測を実施する。
親潮・黒潮混合域における時系列観測では、水産総合研究センターによるAライン観測に参加する。同センターの北海道区水産研究所と東北区水産研究所が、北海道厚岸沖から南東に伸びる観測ライン(Aライン)を設定して、若鷹丸と北光丸の調査航海により、海洋モニタリングが長期的に行われてきた。今年度も2014年5, 7, 10月, 2015年1, 3月に海洋観測が実施される予定である。Aライン観測では、塩分・水温、クロロフィル、溶存酸素、主要栄養塩各種の濃度が測定されている。本研究課題に関連して、同センターと共同研究契約を締結して、Aライン観測に参加する。
両時系列観測では、海洋表面から底層付近までの水を鉛直的に採取してモノハロメタンの濃度を測定する。海洋基礎パラメタとモノハロメタンデータを比べ、モノハロメタンの季節変化の要因を明らかにする。とくに、噴火湾でみられたような、有機物分解に由来するヨードメタンが、外洋域(Aライン)でも見られるのかに焦点をあてる。
海洋観測と並行して、植物プランクトンによるモノハロメタンの生成を調べる室内培養実験を行う。ガラスボトルに海水を封入して、栄養塩を添加したのち、植物プランクトン株を添加して培養を行う。培養期間中に、連続的に純空気(二酸化炭素入り)を低流速でバブリングして、植物プランクトンが生成したモノハロメタンを逐一抽出する。植物プランクトン成長の各ステージにおけるモノハロメタン生成の特徴を明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

前年度3月に納品になったボトル海水中VOC連続抽出濃縮装置と小型極低温冷凍装置GCMS仕様の支払に充てるため、次年度使用額が生じた。
前年度3月に納品になったボトル海水中VOC連続抽出濃縮装置と小型極低温冷凍装置GCMS仕様の支払に充てる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2014 2013

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 北海道噴火湾におけるブロモホルム分布の季節変動2013

    • Author(s)
      大木淳之、三輪一爾、大西広二、亀井佳彦、小林直人、久万健志
    • Journal Title

      分析化学

      Volume: 62 Pages: 1071, 1078

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 地球環境の化学 海洋から大気へ放出される揮発性有機ハロゲン化合物の特徴―気液平衡器‐自動大気濃縮‐GC‐MS法による連続測定システムの開発と応用―2013

    • Author(s)
      大木淳之
    • Journal Title

      月刊工業化学

      Volume: 64 Pages: 516, 523

  • [Presentation] 北海道噴火湾における揮発性有機ヨウ素の季節変化とその要因2014

    • Author(s)
      清水祐作、大木淳之、大西広二、亀井佳彦、小林直人、久万健志
    • Organizer
      日本海洋学会
    • Place of Presentation
      東京海洋大学品川キャンパス(東京都港区)
    • Year and Date
      20140326-20140328

URL: 

Published: 2015-05-28  

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