2013 Fiscal Year Annual Research Report
定量的な気温復元を可能にする石筍の水同位体温度計の開発
Project/Area Number |
24681005
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
植村 立 琉球大学, 理学部, 准教授 (00580143)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 古気候 / 安定同位体比 / 石筍 / 鍾乳石 / 流体包有物 / 沖縄 / 気候変動 / 気温復元 |
Research Abstract |
気候変動のメカニズムを解明し影響評価を行うためには、過去の変動を把握することが必要である。しかし、機器観測が始まる前の気候データは「寒暖」などの定性的な指標が多く、解析を妨げる要因となっている。本研究では、過去の気温変動を定量的に明らかにすることを目指して、鍾乳洞内の炭酸塩(石筍)の研究を行う。 本年度は、昨年度に開発を開始した流体包有物の同位体比測定法の改良を行った。実験の結果、石筍に含まれる水を抽出する際の温度が高すぎると同位体比分析に影響を与えるガスが発生していることが示唆された。これらを改良した新型の小型破砕装置を作成し、安定したデータを得ることができた。当初計画よりは手法の開発実験に時間を要したが、目標に近い感度・精度を得ることに成功した。測定時間が長いことが問題点として残っているので、引き続き改良を行う。 沖縄本島と周辺離島で採取された石筍を中心に炭酸カルシウムの酸素・炭素安定同位体比測定を行った。本年度は、複数の石筍の同位体比測定を実施した。これらの石筍の年代決定は、海外との共同研究としてU-Th法によって行い、間氷期から最終氷期をカバーするデータを得つつある。 石筍および流体包有物の形成プロセスを観測するため、沖縄県南大東島での観測(降水、滴下水同位体比、pH、温度、湿度など)を実施した。集中モニタリングの期間を半年間前倒しして実施できたので、計画していた集中観測はほぼ終了した。今後も定期的な観測を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流体包有物測定法の開発は、時間はかかっているが着実に進展している。石筍の炭酸カルシウムの安定同位体比測定及び海外との共同研究で実施する年代測定などは全般的に順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな研究計画の変更はない。予想よりも様々な技術的課題が見いだされた流体包有物の測定法について重点的に研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験結果を反映させながら改良をしているので、基金分に少額の残額が生じたが翌年度経費と合わせて使用する。 研究費は、研究を効率的に進めるため必要な物品費(真空関連機器等)、旅費(学会発表、洞窟の調査・観測経費)等を計上している。
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Research Products
(4 results)