2013 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類搭載型記録計を用いた海洋激変イベントに伴う生態系影響評価
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24681006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
依田 憲 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (10378606)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海鳥類 / バイオロギング / 海洋環境 / 高次捕食動物 |
Research Abstract |
本年度は、鳥類搭載小型センサ(GPS)や生理生態学的手法を用いて、海洋環境の長期的(5年間)・短期的(1シーズン)な変動に対する海鳥類の行動的・生理的応答を明らかにすることを目的とした。2013年4月から11月にかけて野外生態調査を行い、新潟県の粟島と岩手県船越大島で繁殖するオオミズナギドリと、青森県蕪島で繁殖するウミネコ合計約100羽に対して小型GPSを装着して採餌域を特定した。また、採餌トリップを終了した親鳥から胃内容物を採取することにより、採餌域に分布する餌情報を取得した。さらに、衛星情報などを用いて採餌域の海洋物理・生物情報を収集した。粟島のオオミズナギドリに対しては、ジオロケータの装着と繁殖地での赤外線カメラの設置により、繁殖に関わるパラメータの取得を行った。また、オオミズナギドリとウミネコから採取した血液を分析することによって、テロメア長の経年変化と環境変動との関係を解析した。特にオオミズナギドリでは、環境ストレスや繁殖ストレスがテロメア伸縮にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするために、育雛期前期と後期に血液を採取し、ジオロケータを装着して行動情報を得た。これまでのデータと合わせて、本年度得られたデータを解析した結果、変動する水温やクロロフィルa濃度の分布に応じて海鳥類が採餌域を調節していること、オオミズナギドリの漂流休息行動を利用して海面流動を再現することが可能であること等が明らかになった。現在は本年度得られた胃内容物のDNA分析、テロメア分析を進めている。成果の一部を原著論文として発表した(Yoda et al. 2014)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りの野外調査を実施することができた。ただし、大量のデータを得た一方で、充分な解析を終えたとは言いがたい。今後、年間比較を含めた解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
野外調査が非常に順調に進んでおり、今後も同様に進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は海外より取り寄せた動物装着型GPSが当初予定よりも安価に購入できたため、当該助成金が生じた。 来年度は翌年度の研究費と合わせ、精度がより向上したGPSおよび、動物装着型加速度データ・ロガーの購入を行う予定である。
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Research Products
(3 results)