2015 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類搭載型記録計を用いた海洋激変イベントに伴う生態系影響評価
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24681006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
依田 憲 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10378606)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオロギング |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋環境の変動に対する海鳥類の行動的・生理的対応について明らかにするため、野外調査を行った。青森県蕪島のウミネコ、新潟県粟島のオオミズナギドリ、岩手県船越大島のオオミズナギドリの親鳥にGPSデータロガーを装着し、移動データを取得した。データを解析した結果、どの地域も大規模スケールでの採餌域は2008年から昨年度までに得られたものと変わらなかったが、中規模から小規模スケールでの採餌域や飛翔・採餌行動には変化が見られた。例えば、50個体にGPSを装着した粟島個体群では、例年のように釧路沖まで採餌に行く個体がいたが、本年度は津軽海況をこえる雄親が多い特徴が見られた。今後は衛星リモートセンシングから得られた水温やクロロフィル濃度、海上風等の外部環境と行動の対応関係を調べていく予定である。また、環境変動や採餌・育雛ストレスに対する親鳥の生理的な変化を調べるため、成鳥から血液の採取を行った。今後実験室での分析を行って染色体末端部のテロメア長を計測し、採餌ストレスや越冬ストレスに関する知見を得る。また、オオミズナギドリに関してはこれまでに、個体によって環境変動への応答行動が異なることがわかってきたため、人為的にいくつかのストレス刺激を与え、それに対する反応を見ることで、攻撃性などを判定する性格分類を行った。分類された性格と自律神経系活動の対応関係を明らかにするために、親鳥に心電図ロガーを装着した。その結果、1年間経過しても、性格と自律神経系活動の対応関係の個体差が維持されていたことから、海鳥の性格の生理的基盤として自律神経系活動が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データロガーの装着については、ほぼ計画通り行うことができた。また、生理的な側面に関しては、当初計画以上に進んでいる。ただし、膨大なデータを充分に解析できたとは言えず、今後はGIS解析を中心に行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究取り纏めとして、ウミネコとオオミズナギドリのバイオロギングデータ解析と、海洋環境との関係の解析を中心におこなう。
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Causes of Carryover |
当初予定通り、ウミネコおよびオオミズナギドリに対してGPSデータロガー等を装着することに成功したが、予定よりもデータロガーを安価に購入できたため、未使用額が発生した。また、検証のための野外調査および解析プログラムの一般化が必要となったため、補助事業を延長し、目的をより精緻に達成することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加実験のための消耗品(各種データロガー)、野外調査旅費、および研究員への謝金を計上した。
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Research Products
(6 results)