2012 Fiscal Year Annual Research Report
水生植物の根圏機能を高度に活用した水環境汚染化学物質の効率的浄化法の開発
Project/Area Number |
24681011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
清 和成 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80324177)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境保全技術 / 根圏浄化法 / 水生植物 / 根圏微生物 / 発現解析 / 微量汚染化学物質 |
Research Abstract |
研究代表者らは、これまでの研究で、水生植物と根圏微生物の共生システムが、栄養塩類のみならず難分解性の化学物質浄化促進作用を有しており、水生植物根圏に化学物質分解能に長けた特殊な微生物が選択的に集積、活性化されていることを明らかにしてきた。 本研究では、水生植物が根圏にどのような機能を有する微生物群を集積させ、活性化させようとしているのか、また、微生物群がそのはたらきかけにどのように応答しているのかについて、遺伝子発現のレベルで明らかにし、人為的に根圏微生物群を制御した効率的水質浄化技術開発につなげるための知見の集積と制御因子の解明を目的としている。 平成24年度は、「水生植物がその根圏にどのような機能を有する微生物群を集積しようとしているのか?」を明らかにすることに主眼をおいた実験を実施した。 まず、環境中の微生物群の機能遺伝子を網羅的に解析するためのDNAマイクロアレイのデザインを実施し、各種化学物質分解遺伝子、元素循環関連遺伝子、金属代謝関連遺伝子、抗生物質耐性遺伝子など、442種類の遺伝子配列をプローブとして搭載したDNAマイクロアレイを設計することができた。続いて、水生植物根圏においてどのような機能が特徴的に集積、活性化されるのかを明らかにするためのDNAマイクロアレイによる解析実験を実施した。ここでは、上述の機能遺伝子の網羅的解析用DNAマイクロアレイより、Sphingobium fuliginis OMI株の全ゲノム情報を搭載した発現解析用DNAマイクロアレイが先に入手できたため、解析手法の確立も兼ねて、OMI株の全ゲノムDNAマイクロアレイによる解析を先行して実施した。その結果、OMI株ではウキクサ根分泌物を添加した際に、酸化還元酵素(EC1群)、転移酵素(EC2群)、加水分解酵素(EC3群)、合成酵素(EC6群)の発現が顕著であり、これらの機能を有する微生物群を根圏に集積している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、機能遺伝子群を網羅的に解析可能なDNAマイクロアレイによる根圏微生物群の特徴の把握を実施する予定であったが、Sphingobium fuliginis OMI株の全ゲノム配列を搭載したDNAマイクロアレイが先に入手できたことから、解析手法の確立も兼ねて、ウキクサ根分泌物の添加条件下での発現解析を先行的に実施した。順番は若干異なるが、1年間に実施予定の内容としては概ね達成できているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
機能遺伝子群を網羅的に解析可能なDNAマイクロアレイも入手できており、根圏微生物の全ゲノム配列を搭載したDNAマイクロアレイによる発現解析と併せて実施する。研究を遂行する上での課題等は特にない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度末の学会出張旅費分が支払い手続きの関係上残額となっているものであり、翌年度の研究費は当初の計画に則って使用する。
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