2012 Fiscal Year Annual Research Report
ラングミュア‐ブロジェット法を用いたDNA折り紙二次元集積体の構築
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24681019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
KIM Franklin 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (10608566)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自己組織化 / ナノ材料 / ラングミュア・プロジェット法 / DNA折り紙 / 界面組織化 / グラフェン |
Research Abstract |
ナノ材料は、ナノサイズ特有の物理的及び化学的性質を有し、幅広い分野に応用可能である。しかし、その実用化に向けた主要な課題の一つは、実際に使用する事が可能な大きなサイズの機能性構造体を構築することである。 この問題を解決する一つの方法として、我々はナノ材料の2次元アセンブリを作製するラングミュア・プロジェット法の適用を検討している。簡単に言えば、ナノ材料のコロイド懸濁液を気液界面に緩やかに塗布することで薄膜を形成することができる。ナノ材料が互いに相互作用しビルディング.ブロックの形状や大きさに応じて様々な構造に組み立てられる過程において、圧縮率を変化させることで薄膜内の材料密度を制御できる。このようなプロセスによって、センサ、デバイス、および細胞培養基板などの用途に有用な、制御された単層集合体の生成が期待される。 まず最初に、我々はラングミュア・プロジェット技術を用いたDNA折り紙の自己組織化能を調べた。DNA折り紙は形状を正確に設計可能であり均一性も高いため、自己組織化に関する構成要素の形態の影響を調べる理想的材料となる。しかし研究過程において、DNA折り紙は塩を含む溶液中では安定であるが、気液界面に露出するとその形状が簡単に変形することが判明した。したがって、この問題の解決を試みる一方で、他のナノ材料の検討に取り掛かった。 我々が現在焦点を絞っているナノ材料の一つは、グラフェン酸化物、タングステン硫化物(WS2)、二硫化モリブデン(MoS2)などを用いたナノシートである。これらのナノシートはDNA折り紙に比べて大きさや形状が均一でないが、大量に生産でき、気相液相および液相液相界面で安定である。我々は最近、逆電荷を持つ高分子電解質との錯形成によってナノシートを作製する新しい方法を開発し、薄膜、繊維、およびカプセルなどの構造を持つナノシートの製作を可能にした。この結果は論文誌ACSNanoに掲載され、我々は新たな発見に基づいてもう一つの論文を準備している。また、これらナノシートへのラングミュア・プロジェット法の適用も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々は、DNA折り紙が空気-水界面で安定な薄膜を形成せず、凝集し巻き込んだような構造になる事を見いだした。したがって、この問題の解決を試みる一方で、他のナノ材料の組み立て法の検討に取り掛かった。その結果、高分子電解質との錯形成を用いて、様々な無機物2次元ナノシートのメソ構造体を制御する新たな方法を開発した。この結果は論文誌ACS Nanoに掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA折り紙の構築において、気相液相界面でDNA折り紙構造の安定性を高める種々の条件を検討する。その一方で、グラフェン酸化物、タングステン硫化物(RS2)、二硫化モリブデン(MoS2)などのナノシートの構築にも取り組む。界面状態の制御によって、ナノシートが様々な興味ある自己組織化挙動を示すことを見いだしつつある。これらの発見に基づく新たな論文を準備しているところである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
我々は研究を加速するためにボスドク研究者1人とパートのテクニシャン1人を採用する。また、自己組織化プロセスのより速い観察を行うため暗視野撮像機能を備えた光学顕微鏡の購入を計画している。我々の結果は現在発表され始めており、今後国内および国際会議でも紹介する予定である。
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