2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール熱電変換のボトムアップ的シミュレーション
Project/Area Number |
24681021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山本 貴博 東京理科大学, 工学部・第一部教養, 講師 (30408695)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノ構造物性 / 熱電変換 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は、ナノ物質の熱電変換を原子レベルで高精度に解析するシミュレータの開発を行い、ナノ物質に固有の非平衡熱電相関現象の解明とユビキタス元素からなる熱電変換ナノ物質の開発支援を行うものである。期間全体では、3つの課題: 項目1:ナノ物質の熱電変換シミュレータの開発 項目2:ナノ物質に特有の非平衡熱電相関現象の理論予測 項目3:ユビキタス元素を基軸としたPGECナノ物質の理論設計とデータベースの公開 を実施する。平成24年度は、上記研究項目のうち、項目1と項目2を実施した。. 項目1に関しては、汎用シミュレータの完成と公開に向けて、プログラムの高速化と適用物質範囲の拡大化を行った。項目2に関しては、既に開発済みのプロトタイプシミュレータを用いて、ナノ物質の非平衡熱電相関現象の解析を実施した。具体的には、グラフェンナノリボン(GNR)の熱起電力に関して、そのリボン幅や端の形状などの依存性について系統的に調べ、熱起電力を最大に引き出すための条件を明らかにした。また、カーボンナノチューブ薄膜のゼーベック係数の低温での特異な温度依存性が、薄膜を構成するカーボンナノチューブ同士の接触部分で起こる共鳴トンネルに起因することを明らかにした。さらに、カーボンナノチューブ薄膜の室温でのゼーベック係数が、単独のカーボンナノチューブと同程度に大きな値をもつことも明らかにし、カーボンナノチューブ薄膜の熱電材料としての可能性を世に先駆けて提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究項目のいずれも順調に進んでいるだけでなく、物理系・化学系・機械系など様々な分野で熱電実験を行っている研究者らと情報交換や議論を行うことで、当初予定していなかった新しい研究の方向性やその重要性が明確となり、いくつかの共同研究も開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、ユビキタスでフレキシブルな新しい熱電ナノ材料の可能性を見出すために、カーボンナノチューブ薄膜などのナノ材料の熱電物性を明らかにする。また、平成24年度に得られたデータをデータベース化し、WEB等で公開を始める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度にまとめて計算機の充実化を行うために、当該助成金が生じた。
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