2013 Fiscal Year Annual Research Report
複層シェル構造金属ナノカップの生命科学分野への実用化応用研究
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24681025
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
金 賢徹 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, オンチップ・セロミクスプロジェクト, 研究員 (70514107)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ機能材料 / 磁性構造体 / 細胞精製 |
Research Abstract |
本研究は、新規開発した複層シェル構造金属微粒子を実用化利用するための橋渡し原理検討として細胞回収技術開発に焦点を絞り、磁性粒子回収技術と粒径依存フィルタ分画技術の特長を組み合わせた、目的細胞を迅速・簡便に選択回収可能な細胞回収技術の開発を目的としている。 研究第2年度目の目標としては、研究第1年度目で開発した超常磁性カップを用いて、実際にカップ内部空間へ細胞を捕獲する原理検証を行うことを目的とし、具体的には、①細胞培養条件下で安定に使用可能な、実用的な組成の超常磁性カップの作製、②細胞回収を想定した超常磁性カップ内部への分子固定条件の検討、③超常磁性カップを用いたモデルビーズや株化細胞の回収実験の推進を目標とした。 研究推進の結果、研究項目①では、Ni薄膜とSiO2薄膜をNiが1層あたり3nm以下、SiO2が1層あたり15nm以下となるよう、かつNi層数が3以上となるよう交互に積層させた超常磁性カップを用いることにより、一般的な細胞培養液中でも溶解等することなく安定でかつ超常磁性を保持したまま利用可能であることを明らかにした。研究項目②では、カップ内部に合成DNAを固定化する際、固定化される分子密度がカップ凹面曲率に依存し、特にカップ内部に分子を高密度固定化するためには、カップ側面への分子固定化密度が大きく寄与することを明らかにした。研究項目③では、細胞と同程度(直径10ミクロン)のビーズや培養細胞を回収標的として様々な直径の超常磁性カップで回収実験を行った結果、回収標的直径以下のカップでは全く標的が回収されず、標的直径よりカップが大きくなると徐々に回収率が向上することから、カップが厳密なサイズフィルタとして機能することを明らかにした。 以上の通り、研究第2年度目では当初目標の達成に成功し、これまで得られた成果については招待講演含む学会発表および2報の論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2年度目の研究目標であった①細胞培養条件下で安定に使用可能な超常磁性カップの作製、②細胞回収を想定した超常磁性カップ内部への分子固定条件の検討、③超常磁性カップを用いたモデルビーズや株化細胞の回収実験の推進、の全てについて開発に成功し、得られた成果を国際会議や論文にて発表することができたため、研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度目の研究では、目標を予定通り達成することができたため、第3年度目以降も研究計画通り、超常磁性カップを用いて目的の細胞を選択的に回収するための技術開発を推進する。
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