2012 Fiscal Year Annual Research Report
単一ヒト細胞核を含むピコリットル空間の1分子mRNAカウンティング
Project/Area Number |
24681027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加地 範匡 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90402479)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノバイオ / mRNA / 細胞 |
Research Abstract |
本研究では、ヒトの細胞(体積:数pL(10^<-12>L))と同程度の大きさを有するピコリットル空間内に、ヒトの細胞から単離した核を単一核レベル封入し、転写されて核外へ輸送されてくるmRNA(メッセンジャーRNA)を1分子レベルで高精度にカウンティングできる新しいマイクロデバイスと解析法を確立する。 これにより、これまでは発現量が極めて低く見落とされていたmRNAも高精度な定量が可能となるため、超早期に細胞の分化やがん化などの検出が可能となることが期待される。 初年度は、マイクロチャンバーを用いた細胞内環境構築における技術的課題の解決を目的に研究を進めた。具体的には、壁面への吸着を抑制するマイクロチャンバーのコーティング法と、核のマイクロチャンバーへの封入法と細胞内環境の再現を狙った実験系の構築を行った。空間サイズの縮小に伴って比界面積(表面積/体積)が増大するため、マイクロチャンバーのような小さな空間においては、中に封入した分子の壁面への吸着も無視できないレベルになる。特に本研究のような「1分子レベルでのカウンティング」では、壁面への吸着によるmRNAの損失は致命的である。そこで、マイクロチャンバー壁面を生体親和性の高いPEG (poly(ethylene glycol))やMPC (2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine)ポリマーでコーティングすることにより、壁面への吸着を抑制し、再現性の高いカウンティングが可能な実験系を構築した。また、マイクロチャンバーのサイズと測定時間などを最適化することで、発現のカイネティクスに影響を及ぼさないよう実験系を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度計画通りの実験を遂行し、おおむね当初期待していた実験項目の検討を終えたため、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、1分子mRNAの定量的可視化法と経時的可視化法について検討を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたデバイス作製に伴う消耗品費用が、予定よりも節約できため残額が生じた。当該経費は、次年度経費とともに物品費としてデバイス作製、核抽出に必要な分子生物学実験試薬の購入に使用する。
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Research Products
(6 results)