2013 Fiscal Year Annual Research Report
有機-無機ハイブリッドベシクルを用いた高効率・完全無細胞膜タンパク発現システム
Project/Area Number |
24681028
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
安原 主馬 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (90545716)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオリアクター / マイクロ・ナノデバイス / 有機-無機ハイブリッド / 蛋白質 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究課題では、有機-無機ハイブリッドベシクルの有する分子ふるい効果を利用することで、高効率に膜タンパク質を無細胞で発現できるシステムを構築することを目的とした。本年度は、具体的に以下の研究を実施し、得られた成果は論文および学会において報告した。 (1) ベシクル構造のチューニングによる分子ふるい機能の制御 前年度までに開発した分子ふるい機能を有する有機-無機ハイブリッドベシクルのさらなる構造最適化と、分子ふるい機能における境界分子量の制御について検討した。前者に関しては、従来のリン脂質ベシクルの調製における種々の方法が有機-無機ハイブリッドベシクルに対しても同様に適用できることを確認し、粒径の均一な単一膜ベシクルの調製手法を確立した。また、後者に関しては膜と相互作用する両親媒性分子を種々設計・合成し、有機-無機ハイブリッドベシクルへ修飾した。その結果、両親媒性分子の分子構造及び添加量に応じて膜透過特性をチューニングできることを明らかにした。 (2) ベシクルに内包する無細胞タンパク質発現システムにおけるコンポーネントの最適化 はじめに前年度までに確立した酵素封入ベシクルの詳細なキャラクタリゼーションを行い、続いて分子封入の高効率化について検討をした。前者に関しては、膜透過できる低分子の阻害剤を用いる事でベシクルへの封入後であっても、ベシクル内の酵素反応を外部から制御出来ることを見いだした。また、後者に関しては酵素封入ベシクルの精製に関して種々の手法について比較・検討を行い、内包する酵素反応系に対応した最適な条件を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的に対して必須となる有機-無機ハイブリッドベシクルの構造及び膜特性の最適化について手法を確立し、ベシクル内部における酵素反応系の構築を達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな研究計画の変更は無いが、当初の目標である高効率な無細胞遺伝子発現システムの構築をめざし、さらなる最適化を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、有機合成に必要な試薬類が当初想定したよりも少なく目標を達成したため、余剰金が発生した。 翌年以降、膜タンパク質の発現およびその評価に必要な装置・器具・試薬類を重点的に整備する。
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Research Products
(9 results)