2012 Fiscal Year Annual Research Report
革新的光電デバイス応用に向けたカーボンナノチューブ量子多体効果の学理の開拓
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24681031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮内 雄平 京都大学, エネルギー理工学研究所, 特任准教授 (10451791)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノチューブ・フラーレン / 高効率太陽光発電材料・素子 / 光物性 |
Research Abstract |
平成24年度は、長い単一ナノチューブをスリットと電極のついた基板上に架橋合成し、顕微光学測定を行うことで幾何構造を同定する一連のシーケンスを確立した。また、暗視野光散乱イメージングにより単一ナノチューブの位置を特定し、ブロードバンド白色光源からの光を分光することで単色化して単一ナノチューブに照射し、透過光をフォトダイオードでモニタする光学系についても作製した。上記光学系を用いて励起光波長を変えながらナノチューブからの直接散乱光を観測したところ、ナノチューブの電子構造に応じて散乱光強度が変化することを確認できた。光吸収測定については、偏光変調を用いる方法を試みたところ、現状では、チューブを架橋しているスリットの幅が狭く、スリット端からの光散乱の影響が大きいことがわかった。今後は、スリット幅の大きい基板を用いることでスリット端光散乱の影響を減らすとともに、他の変調手法についても試みる。また、上記共焦点光学系を用いて化学的手法によりホールドープした単層カーボンナノチューブにおける光学非線形性の測定を行ったところ、キャリアドープ下ではキャリアと励起子間の多体相互作用に起因した励起子緩和ダイナミクスの変調により光学非線形性が大きく変化することが明らかとなった。今年度に立ち上げた実験装置及び得られた一連の知見は、今後予定している波長を変えながらの単一ナノチューブにおける光電流測定や、光吸収測定実現への基礎となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一ナノチューブの各種光学測定の基礎となる光学系をおおむね立ち上げることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き単一ナノチューブの光学測定手法の開発を進め、励起光波長を連続的に変化させながらの光学測定を自動化し、十分なSN比、かつ広い波長範囲での光散乱および光吸収直接測定を可能にする。また、光学測定と同時に光電流を測定できるように実験系を拡張する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該助成金は、本研究で使用中の既存設備(ブロードバンド白色光源)が故障したため、多額の修理費用が追加で必要になる可能性を考慮し一部購入予定の物品(ソースメータ、マルチメータ、顕微鏡対物レンズ他)の購入を延期したために生じた。結局交渉により修理費用は無償となり修理も完了したため、次年度に上記物品を購入する予定である。
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Research Products
(15 results)