2014 Fiscal Year Annual Research Report
気泡と斑晶を含むマグマの噴火様式決定メカニズムをモデル実験で理解する
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24681035
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
並木 敦子 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (20450653)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スロッシング / 気泡 / 誘発噴火 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度(一部H27年度に繰り越し)は主に地震による誘発噴火に取り組んだ。若手研究Aを申請した当初は、この実験を最終年度にあたるH27年度に、日本で遂行する事を予定していた。しかし、研究上要求される性能を備え、かつ予算内で購入できる、地震を模擬する為の振動台を見つける事が難しかった。そこで、当初計画を前倒ししてH26年8月にGFZ Potsdamを訪問して振動実験を行った。 まず、マグマを模擬した水あめの入った容器に対し水平方向に振動を加えた。その結果、スロッシングと呼ばれる、工学分野では良く知られた、流体の振動を観察する事ができた。スロッシングは地震に伴い石油タンク等の事故を起こす事でも知られている。次に気泡を含む水あめに振動を与え、スロッシングにより気泡の合体が起こる事を示した。更に、気泡がつぶれた後の水あめは気泡の無かった部分とスロッシングにより混合する事を示した。マグマ溜まりや火道内にあるマグマ中の気泡が地震により合体すれば、火山ガスが放出され、その火山の活動度が上がると考えられる。よって、実験からスロッシングにより気泡の合体を定量的に記述できる理論を作成し、これをマグマ溜まりや火道に適用した。その結果、気泡を保持しているマグマ溜まりや火道が地震により振動した場合、気泡の合体が噴火の要因になり得ること、また、宝永地震の後に起きた富士山の宝永噴火でみられたマグマの混合はスロッシングで起きたと考えられる事を示した。本研究の成果は誘発地震におけるスロッシングの効果を世界で初めて定量的に見積もった先駆的な研究としてJournal of Volcanology and Geothermal Research に招待論文として掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は粘弾性測定、気泡を含む流体の減圧実験、せん断変形実験、振動実験からなる。すでに粘弾性測定以外は論文を発表しており、概ね当初予測通り進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最も苦労している粘弾性測定であるが、やっと粘弾性の測定と気泡の変形の同時観察の方法を確立できた。よって今後は測定点を増やし、速やかに論文にまとめたい。
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Causes of Carryover |
当初、振動台を購入する予定であった誘発噴火の実験をGFZポツダムにおいて行った結果、低予算で済んだ事、また、より多くの予算が必要となる粘弾性測定を最終年度に行う事となった為、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
より高額の測定装置と測定してもらう為の人件費が必要な粘弾性測定を最終年度に行う事となった為、装置の購入代金と人件費として使用する。
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