2015 Fiscal Year Annual Research Report
気泡と斑晶を含むマグマの噴火様式決定メカニズムをモデル実験で理解する
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24681035
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
並木 敦子 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (20450653)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 粘弾性 / 気泡 / 結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度(H28年度まで研究期間延長)は主に気泡と粒子を含む流体の粘弾性測定を行った。本研究の最も重要なポイントは粘弾性測定と気泡の変形の同時観察であったが、気泡サイズが当初の予定よりも小さくその観察方法が問題となっていた。この問題を、焦点距離の長いマイクロスコープを導入する事で解決した。その結果、気泡が引き伸ばされ合体していく様子を詳細に観察できるようになった。本研究では二枚の板状のプレートの間にマグマを摸した気泡を含む水あめを配置して回転方向のせん断変形を与えているが、せん断速度が高くなると回転軸をとりまく同心円状の気泡ができ、これが形成されるときに実効的な粘性率が一桁下がる事が測定によりわかった。また、一度この構造ができてしまうと、せん断速度を下げても測定される粘性率は元には戻らない事もわかった。気泡の合体が起きた後の流体には当初存在していたよりも小さい気泡しか残っていなかった。また、観察された最少気泡サイズが下がる事もわかった。気泡の合体が大きい気泡において選択的に起こり、また、気泡の分裂も起こった事を示している。 火山の噴火において、火山ガスは爆発を起こす要因となる。火山ガスとマグマを分離するプロセスとして本研究で得られた結果は極めて重要である。この結果は国際学会American Geophysical Union Fall meeting 2015にて招待講演として発表した。また、現在論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に従い4年間で計画していた実験の大部分は終える事ができたが、上述の通り、気泡の変形の観察と粘弾性の同時測定の問題を解決する為に時間がかかってしまった。現在は問題が解決し、研究を完成させる見通しがたっている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、殆どの測定は終了しているが、粘弾性測定については動的粘弾性の測定点を数点増やす必要がある。また、現在投稿論文を執筆中である。研究実施期間を延長していただけたので、H28年度中に出版したい。
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Causes of Carryover |
気泡の形状変化観察の方法を確立する為に予想よりも時間がかかってしまった。その為、測定の計画がやや遅れ、論文執筆にも時間がかかっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
測定の為の人件費と成果の発表の為に使用させてもらう。また、これまでの結果から補足的な別の測定を行う必要性が明らかになった為、その装置の購入にも使用させてもらう予定である。
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