2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24681050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 弓 東京大学, 総合文化研究科, 特任准教授 (50466819)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 記憶 / 日中戦争 / 中国農村 / オーラルヒストリー / 中国近現代史 / 科学と迷信 / 雨乞い / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
10月にオーラルヒストリーの国際学会であるOral History Association(OHA), The 48th meeting in Madison Wisconsinに参加し、Collective memory of the Second Sino-Japanese War among Villagers in Shanxi, China: dreams, films and narrativesというテーマで報告を行った。英語で発表することにより、日本国内にとどまらずより多くの聞き手に研究成果を開くことができた。また、アメリカやカナダのオーラルヒストリー研究者と意見交換することにより、オーラルヒストリー研究の問題を多面的な視点から考え直すことができ、今後の研究に生かすべき問題意識を明確化した。 3月には大阪で行われた現代中国史研究会主催シンポジウム「歴史の記憶と歴史」にて、「歴史と記憶のせめぎ合いーーオーラルヒストリーから見る戦争記憶の多層性」というテーマでパネル報告を行った。これまでのフィールド調査による研究蓄積を、記憶と歴史の相互作用の側面から捉えなおしたことで、調査地域の具体的な出来事の実証を記憶や歴史といった概念の問題に発展させて論じることができた。パネル発表の内容は2015年度中に論文として発表する準備をしている。論文執筆においては発表内容を更に練り上げて集合的記憶について具体的事例から再考したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年4月に出産後5か月で研究業務に復帰したが、身体の回復に予想以上に時間がかかったことと、育児のために長期自宅を離れることができず、予定していたフィールド調査を行うことができなかったため、研究の推進に遅れをきたした。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実行できなかった南社村を中心とした大王廟会及び雨乞い活動の実態調査を行っていく。その際に南社村周辺の地域だけでなく、距離としては100キロ以上離れているが、南社と神の親戚(神戚)の関係にあり雨乞いをめぐり古くから往来のあった宴村にも目を向け、両地域での「順口溜」を通した記憶共有の実態について考察していく。 調査結果をもとに、日本語、中国語、英語での論文執筆を行う。
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