2012 Fiscal Year Annual Research Report
主観的幸福度アプローチと仮想離散選択実験による相対効用効果の推定
Project/Area Number |
24683006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 克宣 大阪大学, 社会経済研究所, 講師 (80533603)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 相対効用効果 / 幸福度 / 仮想離散選択実験 / 国際比較 |
Research Abstract |
24年度の研究成果は以下の通り: (1)日本の幸福度データ、真の参照群所得とノイズを伴った参照群所得代理変数を用いたHappiness Regression研究についてはワーキングペーパーとしては完成したもののジャーナル掲載には至らなかった。引き続き国際査読付き雑誌への掲載を目指して投稿を行う。 (2)インドの幸福度サーベイ・データを用いた相対効用仮説の実証分析については新たにワーキングペーパーとして完成し、共著者がIZAの総会で学会報告を行った(インド)。今後は査読付き国際雑誌への投稿を行う。 (3)申請者の開発した、仮想離散選択実験による相対効用効果の推計について、Journal of Economic Behavior and Organization誌への掲載が決定した。さらに、同じ実験のデータを用いて、他者との比較を行う相対効用効果において、比較を差の形式で行うのか比の形式で行うのかを統計的に検証した。結果は差の形式で比較を行うことをサポートしており、この結果をもとに経済の長期不況を理論的に説明しうる動学分析の理論論文を新たにワーキングペーパーとして纏めた。今後はこの研究についても国際学会での発表、国際査読付き雑誌への掲載を目指して改訂を重ねる。 本研究は相対効用効果の政策的含意を提供することを目的としている。これまで明らかにしたことにより、GDP(国内総生産)による従来的な厚生評価は相対効用効果の分だけ(具体的には約44%)過大評価になっている可能性を指摘している。また、相対効用の発現を検証した結果、それが長期不況状態の原因となりうることを理論、実証の両面から示した。これは長期不況状態からの脱却を考える新しい知見であり、大きなイノベーションとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題のメインとなる実験パラダイムを用いた研究が国際的に評価の高い雑誌に掲載が決定した。また、予定されていた幸福度データを用いた研究も国内データ・国外データともに順調にワーキングペーパーとして纏めることができた。最後に、本来3年目に行うはずであった実験結果をもとにした理論研究の一部を初年度に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、次年度は離散選択課題による相対効用効果の推計を国際比較のために行う。そのための調査票は24年度のうちにほぼ確定されており、共同研究者とともに実査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費次年度使用額が6万円強繰り越されたのは、物品費用を節約した結果である。この節約された資金は、25年度に行う実験のデータ量を増やすように有効活用する。
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Research Products
(9 results)