2013 Fiscal Year Annual Research Report
国際会計基準のエンフォースメントと戦略的会計専門家教育のあり方に関する実証分析
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24683015
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田口 聡志 同志社大学, 商学部, 教授 (70338234)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 会計教育 / 監査論 / 会計学 / 公認会計士 / コンバージェンス |
Research Abstract |
本研究は、会計専門家教育をグローバルな会計基準のエンフォースメントの一手段と位置づけ、会計基準のコンバージェンスを推進するための会計専門家に対する戦略的な会計教育のあり方を実証的に分析することにする。具体的には、各国ないし各文化圏における会計専門家の意思決定プロセスの異同や会計教育効果の異同について、海外実態調査やフィールド実験という手法を用いて分析することで、国際的な会計基準のエンフォースメントをヨリ効率的かつ効果的に進めていくために望ましい戦略的な会計専門家教育のあり方を検証していくことにする。特にここでのポイントは、グローバルな会計基準のコンバージェンスを進めていくための条件として、各国の会計専門家に対する会計教育の問題を取り上げていることである。 平成25年度は、当初申請した計画に基づいた研究を進めていった。具体的には、前年度から引き続き、会計専門家教育のあり方に関する基本的理解や、国際会計基準のコンバージェンス問題に対する理解を深めるため、先行研究のレビューや国内研究者・実務家・監査法人へのヒアリングを行った。また、海外調査(米国、インドネシア)も積極的に行った。このほか、国内において学生を被験者にした経済実験を行った。更に、2013年8月には、その途中成果を、2013 AAA (American Accounting Association) Annual meetingにて報告し、また、2013年12月にはTJAR conferenceにおいても報告を行った。更には、2013年11月および2014年3月に論文を発表するなど、積極的に研究成果の公表にも取り組んだ。このほか、現在、英語にて論文を執筆しており、国外の学会・ジャーナルに投稿する準備をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のとおり、平成25年度は、当初申請した計画に基づいた研究を進めていくことが出来た。具体的には、(1)まず前年度から引き続き、先行研究のレビューや国内研究者・実務家・監査法人へのヒアリングを行った。また、(2)海外調査も2回行った(米国調査として、8月アメリカ会計学会において学会報告とともに、研究者や実務家に対するアンケート調査を行った。また、アジア圏での調査として、11月にインドネシアでのAPC(Asia-pacific-conference)において、研究者や現地実務家に対するアンケート調査を行った)。また、(3)国内(同志社大学、慶應義塾大学)において学生を被験者にした大規模な経済実験を行った。更に、研究成果の公表として、(4)2013年8月にはAAA (American Accounting Association) Annual meetingにて学会報告を行い、また(5)2013年12月にはTJAR conferenceにて学会報告を行った。更に、(6)2013年11月および(7)2014年3月に論文を発表した。そして、(8)海外調査の分析結果について、英文にて論文を公表するための準備作業を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成26年度も、主に、(1)当初計画に基づいた調査や経済実験を行うとともに、(2)この2年間の研究中に得られた知見から新たに挑戦すべき補足的論点についても積極的に取り組んでいきたい。 具体的には、(1)については、前年度から引き続き、先行研究レビューや国内実務家・研究者・監査法人へのヒアリングを行うとともに、海外調査、経済実験、学会等での成果発表を行っていくことにする。また(2)について、この2年間の研究によって、会計基準のコンバージェンスにおける会計専門家によるエンフォースメントについては、個々人の認知や判断過程に注目することはもとより、その前提となる制度やその設計プロセスにも注目することもあわせて重要であるとの知見を、モデル分析を通じて得ている。よって最終年度は、ここでのモデル分析の予測やメカニズムを、実際にアーカイバルデータや実験データにより検証することで、当初計画した仮説を補完する作業も、合わせて行っていくことにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外調査(海外でのヒアリング・実態調査やアンケート調査)において想定していた謝礼分が実際にはかからずに済んでいることによるものである。 次年度も引き続き、できるだけ謝礼分がかからないような効率的・効果的調査を行う予定である。また、その次年度使用額について、国内での調査実験規模を拡充させることで、主に被験者謝金として利用することにする。
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