2012 Fiscal Year Annual Research Report
養育態度が実行機能の発達に及ぼす影響に関する発達行動遺伝学研究
Project/Area Number |
24683022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤澤 啓子 慶應義塾大学, 文学部, 助教 (00453530)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 養育態度 / 実行機能 / 発達行動遺伝学 / 双生児 |
Research Abstract |
今年度は、首都圏ふたごプロジェクト家庭訪問調査に参加している約200家庭のうち、3歳時点及び4歳時点の家庭訪問調査が済んでいない双生児を対象に、家庭訪問調査を実施した。家庭訪問調査では、実行機能に関する実験及び親子で遊ぶ場面の行動観察をおこなった。各時点調査で得られたデータのうち、解析可能に整理されたデータを対象に、発達行動遺伝学分析をおこなった。その結果、実行機能を単一の潜在因子としてとらえたとき、1)2歳時点では、実行機能の個人差はほぼ共有環境要因のみによって説明される、2)3歳時点になると、実行機能の個人差は共有環境要因と非共有環境要因で説明されるようになる、3)4歳時点では遺伝要因、共有環境要因、非共有環境要因の三要因で説明されるようになる、ということが示された。さらに、3時点間の実行機能の相関関係は、共有環境要因によるものであるということも示された。これらのことから、実行機能は幼児期初期には、ほぼ共有環境要因のみの影響を受けているが、年齢があがるにつれて、遺伝要因の影響がみられ始めるということが分かった。また、発達的変化に寄与するのは、共有環境要因であるということも示唆された。このことは、実行機能に弱さのある子どもに介入する際、共有環境要因に焦点をあて介入することが有効であることを示唆するものである。今後は、実行機能の発達に影響する共有環境要因にはどのようなものがあるか、養育態度と関連させて分析を進めていく予定である。今年度得られた研究成果の一部は、国内学会シンポジウムにおいて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調なデータ収集及びデータ解析が実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初研究計画通りに研究を実行していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
週末に家庭訪問調査を希望するご家庭が増えたため、訪問しきれない家庭が出てしまったが、次年度以降も継続して調査を続けていく予定である。
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