2015 Fiscal Year Annual Research Report
「個人の歴史経験」と「学校歴史」に着目した児童の歴史理解に関する実証的研究
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24683033
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田口 紘子 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (10551707)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歴史理解 / 小学生 / インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は児童の歴史理解の形成や変容の原因を、「学校歴史(授業で習得がめざされる歴史)」と「個人の歴史経験(個人が保持している歴史)」に着目して解明し、児童の歴史理解を促進する学校歴史教育のあり方を考察するものであった。本年度は小学校社会科において単元全体で歴史的な事物を学ぶ第3学年の児童と通史として日本の歴史を学び終えた第6学年の児童に着目し、歴史授業の参観やインタビューを行った。 第3学年については、鹿児島県内の市立小学校複式学級の3年社会科「のこしたいもの つたえたいもの」の単元において授業参観と授業前後のインタビューを2名の児童に行った。祭りに踊り手として参加している児童は祭りに関する「個人の歴史経験」が豊かだったが、単元終了後のインタビューにおいては、祭りの意義を「昔からやっているから(やらなければならい)」と義務的にとらえていた。「学校歴史」として学んだ地域住民の連携をもたらすなどの祭りの現代的意味については説明できず、「個人の歴史経験」が「学校歴史」の理解を促進するわけではない事例となった。 第6学年については、日本の歴史の通史学習として「学校歴史」を学び終えた市立小学校児童5名の児童に個別にインタビューを行った。歴史全般に対して関心がある児童は、「個人の歴史経験」として獲得してきた歴史的知識を「学校歴史」でも確認できることに学習の意味を見いだしており、メディアから間接的に得た「個人の歴史経験」と「学校歴史」が強く結びついていることを示す事例となった。また5名全員に尋ねた「歴史のなかで最も重要と考える事柄」については、アメリカの先行研究のように特定の事柄に集中する傾向や日本の子どもが自分自身と「学校歴史」を結び付けている様子は確認できなかった。
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