2013 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児の問題解決過程における指導者との協同活動の生理心理学的評価
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24683035
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡崎 慎治 筑波大学, 人間系, 准教授 (40334023)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 特別支援教育 / 教育学 / 問題解決 / 発達障害 / 生理心理学的評価 |
Research Abstract |
本研究は,発達障害児の問題解決過程の支援に関して,問題解決場面における指導者と対象児との相互作用時に生理心理学的手法を用いた脳機能計測を経年的に実施し,支援の客観的評価とその活用可能性を検討することを目的としている。個々の発達障害のある子どもの問題解決過程の促進を意図した指導支援において子どもならびに指導者の双方からNIRS記録を行い,子どもと指導者それぞれの問題解決場面における脳内処理が指導的かかわりを通してどのように変容するかを経年的に検討することを通して,支援の客観的評価とその活用可能性を検証しようとするものである。 当該年度はこの研究目的の達成にあたり,前年度までに継続して理論的・実証的な背景の整理と経年的実施に向けた予備的な実施と経年的実施の一部を実施した。基礎研究としてのADHD児における反応準備過程の検討を行った成果は,The 19th Annual Meeting of the Organization for Human Brain Mappingにおいてポスター発表を行った。また,前年度までの成果として第31回日本生理心理学会大会においてポスター発表を行うとともに,日本発達心理学会第25回大会におけるラウンドテーブル「絵本を読み合う活動が脳機能に与える影響とその発達評価の可能性-NIRSを用いた基礎的研究からの検討―」におけるファシリテーターとして,本研究の成果の一部を紹介した。あわせて,NIRSを通した認知制御過程の検討,指導者と2名の対象児のペア学習において問題解決を促進する指導支援の検討については,本研究に関連する知見として学術雑誌に投稿,掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の実験計画における実施内容については検討を重ねてきているものの,データの蓄積は進行しており,進展は順調と考える。ただし,対象児の状況によって指導や実験の実施に遅延を生じる可能性は十分あり,それらを勘案して実験の継続とまとめを行う必要はある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究にかかわる研究費とは別に実験機材(NIRS装置)の調達がかなったことから,小児を対象とした本補助金により購入した機材を用いてこれまでの計画通りで進展させつつ,主に定型発達成人を対象とした問題解決過程のより基礎的な検討と,発達障害児を含めた小児を対象とした認知処理過程の検討についても同時並行で行うことを計画している。とりわけ定型発達成人を対象とした問題解決過程のより基礎的な検討については,本補助金により購入した機材では測定できない頭皮上の部位からのNIRS記録が可能であることから,本研究における脳内の関心領域としての前頭前部に限らず,複数の領域の活動を検討できる利点がある。 発達障害児を含めた小児における問題解決過程と成人におけるそれとは異なる点が多いながらも,発達障害児を含めた小児を対象とした結果の解釈の基盤として成人データは重要な位置づけにあり,また発達障害児を含めた小児に比べ成人は協力者を得られやすいことからも,比較的早い段階で成人に関する知見をまとめ発表,投稿を図り,それらの知見を踏まえて発達障害児を含めた小児の検討についてまとめていく予定である。
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Research Products
(6 results)