2015 Fiscal Year Annual Research Report
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24684006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深澤 正彰 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70506451)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 数理ファイナンス / 確率解析 / 中心極限定理 / 安定収束 / 取引費用 / 確率制御 / ボラティリティ / デルタヘッジ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究の目的は,取引費用やモデル不確実性など現実的な制約を考慮したファイナンスのモデルに対して,適切な摂動パラメータに関する漸近分布の解析により,実用的な近似解を構成することである,
前年度までに,一次元局所ボラティリティモデルに対して,線形費用下でヘッジ誤差を漸近的に最小化するヘッジ戦略を構成することができた.取引費用の係数を摂動パラメータとしており,これは取引費用が小さい時の漸近分布論に相当する.当該年度ではまずモデル不確実性を考慮した形で結果を拡張した.現実がそうであるように,原資産価格のボラティリティの構造を正確に特定することができない状況で,ボラティリティの上限の推定値のみから凸ペイオフのヘッジ戦略を構成できるようになった.過大な推定からくる余剰ボラティリティは,自動的にヘッジの精度上昇に寄与する.ボラティリティの下限推定値からは凹ペイオフのヘッジが可能である.また原資産価格に対するマルコフ性の仮定も除くことができた.
当該年度の成果により,デルタヘッジを必要とする中長期のヨーロッパ型オプション(例えばコールオプション,プットオプション)のポジションを,取引費用による損失及びモデル不確実性を考慮に入れてリスク管理する実用的な方法が得られた.同質化構造に基づく(マルコフとは限らない)セミマルチンゲールの確率制御理論を構築したことになり,セミマルチンゲールの安定収束理論の応用としても斬新である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究計画の最終年度までに,モデル不確実性と取引費用をともに考慮した漸近的最適ヘッジ,及び非整数ブラウン運動による確率ボラティリティモデルの漸近分布の基礎理論を構築することができた.研究期間の延長により,当該成果を発表する機会を増やし,また多次元への拡張を継続して研究する.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果の発表を継続してフィードバックを得るとともに,多次元への拡張を試みる.
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Causes of Carryover |
次年度に開催される国際研究集会に参加して当該研究成果を発表するため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に開催される国際研究集会に参加して当該研究成果を発表する
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Research Products
(13 results)