2015 Fiscal Year Annual Research Report
X線に主眼を置いた、広帯域X・ガンマ線観測によるガンマ線バーストの放射機構の解明
Project/Area Number |
24684015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山岡 和貴 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00365016)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | X線ガンマ線天文学 / ガンマ線バースト / 国際宇宙ステーション / 全天X線監視装置(MAXI) / 高エネルギー電子、ガンマ線観測装置(CALET) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本独自の観測装置である国際宇宙ステーション搭載の全天X線監視装置(MAXI)と高エネルギー電子、ガンマ線観測装置(CALET)を用いて、特にX線に着目した広帯域X・ガンマ線により、ガンマ線バースト(GRB)の放射機構、X線領域で卓越した放射をもつX線フラッシュ(XRF)の起源に迫るものである。 MAXIについては、昨年度18のGRBを観測し、そのうち11個についてSwift衛星での早期追観測を行い、6個からX線対応天体を、3個から光学対応天体を検出した。GRB150518Aについては赤方偏移をz=0.256と決定できた。これまでMAXIで検出したGRBサンプルは約80にも及び、現在MAXIカタログ第2弾に向けた準備を進めている。 CALETについては、2015年8月19日にJAXA種子島宇宙センターからH-IIBロケットにより打ち上げられた。その後、GeV領域のガンマ線を観測するカロリメータ(CAL)、keV-MeV領域のX線ガンマ線を観測するガンマ線バーストモニタ(CGBM)の立ち上げを行い、現在まで大きなトラブルなく順調に動作している。すでにCGBMにより2016年3月までに16個のGRB検出(うちMAXIと2個同時検出)に成功し、15のGRB速報(GCNサーキュラー)を世界に向けて発信し、WEBでの公開を開始した。現在GeV領域を観測するCALを含めたGRB広帯域スペクトル解析を進めるため、検出器の応答関数構築や解析手法の確立を進めている。これにより、MAXIで同時に検出されたGRBに関しての共同解析や、新たな重力波イベントの検出があった場合でも即座に対応できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、CALETは打ち上げられ、初期運用も順調にすすめられてきた。CALETに搭載されたガンマ線バースト観測装置(CAL,CGBM)を用いた研究をスタートさせることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
CALETは本研究の当初の計画から1年遅れで打ち上げられており、CALETの観測も半年程度と短く、検出器の較正もまだ十分とはいえない。そのため、本年度で終了予定であった研究期間を1年間延長し、MAXIとCALETの同時観測を推し進め、十分なGRBサンプルと検出器較正情報をもとに成果をまとめることとしている。
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Causes of Carryover |
初期成果報告のための国際会議出席旅費を計上していたが、CALETの初期運用、較正や成果の状況から見送ることとした。そのため、当初予定していた旅費に余剰が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
十分に較正やガンマ線バーストのサンプルを蓄積し、信頼できる解析を行った上で、国内会議や論文投稿などの成果発表に充てる予定である。
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Research Products
(13 results)