2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24684018
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
關 義親 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 特別研究員 (90585209)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 中性子 / 干渉計 / 多層膜 / 重力 |
Research Abstract |
微小な相互作用を中性子波動関数の位相差として検出する中性子干渉法は基礎物理の強力な手法のひとつである.とくに,重力相互作用を直接測定できる点は光干渉計にはない際立った特色といえる.重力相互作用から生じる種々の位相差の中で,もっとも寄与が大きいものは中性子と地球の重力相互作用によるもの(COW位相)である.このCOW位相を高精度で測定し,精密中性子干渉光学技術を確立させることを目標として,実験技術の開発を進めている. 今年度は当初測定を予定していた日本原子力研究開発機構研究炉JRR-3Mが稼働しなかったため,J-PARC MLF 基礎物理ビームラインBL05への装置類の移行を検討した.多層膜ミラーを用いた中性子干渉計では,シリコン単結晶中性子干渉計と異なり,膜の格子定数を変化させることでさまざまな波長の中性子を使用することができる.格子定数を徐々に変化させたスーパーミラーを用いれば,パルス中性子源の積分強度を有効に利用できる.そこで,BL05のビーム特性を考慮した干渉計のビームスプリッタの設計を行った.また,除振設備等の付属する装置の準備も進めた.さらに,COW位相の測定精度を向上させていった場合において,量子領域での等価原理検証実験の可能性についても評価を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験を予定していた日本原子力研究開発機構研究炉 JRR-3M が稼動しなかったため.さらに,これに替わって実験を検討していたJ-PARC MLF も事故により長期間稼働を停止したため.
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Strategy for Future Research Activity |
JRR-3Mから装置の移設を進め,運転再開後のJ-PARC MLF で実験を行いたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
もともと交付申請時は,日本原子力研究開発機構研究炉JRR-3で多層膜中性子干渉計の開発を行う予定であった.しかし,震災の影響で平成24年度は(引き続き平成25年度も)JRR-3が稼働しなかった.そのため,平成25年度はJ-PARC 物質・生命科学実験施設での実施を検討した.ところが,平成25年5月のJ-PARC ハドロンホールでの放射性同位体漏洩事故によりJ-PARCも運転を休止したため,中性子ビームを用いた開発が行えなかった. 以上の状況から,次年度はこれまで行えなかった中性子ビームを用いた多層膜干渉計の開発を行うものとし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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