2012 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度キャリア制御による有機半導体の機能発現:レーザーと熱電効果
Project/Area Number |
24684023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下谷 秀和 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60418613)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機エレクトロニクス / 有機トランジスタ / 電気二重層トランジスタ |
Research Abstract |
一般に有機半導体は結晶化により発光効率が減少する。特に、H一会合体と呼ばれるような分子パッキングにあるときは遷移双極子同士の相互作用により著しく発光効率が低下する。これは、有機半導体を用いた発光素子では大きな問題となる。そこで、分子の対称性を低下させることにより結晶中での分子パッキングを変化させ、発光効率を増大させることを試みた。具体的には従来我々が用いてきた2,5-bis(4-biphenylyl)bithiophene(BP2T)の2個のチオフェン環を1個フラン環に置換した2((4-biphenyl)-5([5-(4-biphenyl)-2(thienyl]furan(BPFT)および2,5-bis(4-biphenylyl)bifrane(BP2F)を新たに設計・合成し、気相輸送成長法により作成したそれらの単結晶の発光効率および電界効果キャリア易動度を測定した。 図1の3種類の分子の単結晶のフォトルミネッセンスの量子収率を図2に示す。いずれの励起波長においても今回新たに設計・合成したBPFTが従来用いてきたBP2Tより高い量子収率を示した。 分子軌道計算によると、孤立分子の状態では、それぞれの遷移双極子モーメントの大きさはほぼ等しく、この量子収率の差は結晶中での分子パッキングの違いからくることが示唆される。実際、X線回折の結果はBPFTのみ結晶中で分子が2種類の構造を取っていることが分かった。さらに、その結晶構造を基にした理論計算により、BPFTの隣り合った分子の遷移双極子モーメントどうしはBP2Tのようには打ち消し合わないため、高い量子収率が得られることを明らかにした。 また、チオフェン環をフラン環に置換することにより正孔の易動度が増加し、電子の易動度は減少した。これは、HOMO、LUMOの変化から説明することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機半導体レーザーの実現に適した有機半導体材料設計の指針が得られ、実際に従来よりも優れた物性を持つ有機半導体材料を開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目において、有機半導体材料の研究を終えたので今後はデバイス構造の研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入を予定していた装置の一つを他の研究費で購入することができたため、翌年度の研究費と合わせて有機単結晶加工用のイオンミリング装置を購入することにした。
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Research Products
(6 results)