2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24684028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
村中 隆弘 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (70398577)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | p電子系 / 共有結合 / 超伝導 / 窒素化合物 / 半導体 |
Research Abstract |
本研究では、以下の2つの観点から共有結合性ネットワークを有する化合物に着目した新規超伝導物質探索を行った。 (1)共有結合性ネットワークの次元性・伝導性と高温超伝導 ・層状構造を有するCr2AIC型新規三元素系炭化物Lu2SnCの合成に成功し、Tc;5Kの新規超伝導体であることを発見した。更に、バンド計算による状態密度の評価から、フェルミ面近傍ではC元素の寄与が大きいため、この系における超伝導発現にはCが重要な役割を担っていることを明らかにした。また、同様のCr2AIC型構造の化合物M2SnC(M;Ti,Zr,Hf,Nb)と構造パラメータ、物性、状態密度の観点から比較を行うことによって、これらの系における超伝導の誘起や超伝導特性の向上への指針を得た。 ・結晶構造中にCダイマー、Cトリマーという特徴的な共有結合性ネットワークを有するS3C4に対し、CサイトへのGe置換を行うことによって、Tc=7-8Kの超伝導が発現することを見出した。 ・Siによる八面体構造を有するZrFe4Si2型構造に着目したところ、YRe4Si2(Tc=3.2K),LuRe4Si2(Tc=3K)の発見に至った。 ・Sbによる四面体配位構造を有するCaBe2Ge2型構造に着目したところ、SrPt2Sb2(Tc=2,1K)の発見に至った。電気抵抗の温度変化や構造解析の結果から、構造相転移の存在を明らかにした。 (2)共有結合性ワイドバンドギャップ半導体の高温超伝導化 超伝導転移(Tc=2.8K)を示すAlN試料に対し、その構造パラメータの観点からAlのNに対する組成比率が1より小さな相が合成され、その組成比のずれによってキャリアドープされて超伝導が発現している可能性を示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共有結合性ネットワークを起点とした新規超伝導物質の開発をめざし、p電子系化合物として三元素系炭素化合物、ケイ素化合物に着目しLu2SnC、YRe4Si2、LuRe4Si2、Sc3(Ge,C)4という4つの新規超伝導体の発見に至った。また、四面体構造を有するSb化合物において、新超伝導体SrPt2Sb2を発見した。
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Strategy for Future Research Activity |
発見された超伝導体の結晶構造に関して詳細な解析が必要となるため、試料の高純度化を目指す。また、これまでに得られた物性評価をもとに、類縁構造を有する物質群を対象とした新規超伝導体の開発を推し進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成に使用する装置の消耗品類の納品に時間を要してしまったことや、発見した超伝導物質群の物性評価が学会報告への申込時期に間に合わなかったことによって当該助成金が生じたため、翌年度においてこれらの消耗品を使用した合成実験や学会での研究報告を行う予定である。
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Research Products
(7 results)