2013 Fiscal Year Annual Research Report
レアメタルフリーL10-FeNiの実現に向けた、成膜・スピン・電子状態の基礎研究
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24684029
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
小嗣 真人 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (60397990)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | L10-FeNi / パルスレーザー蒸着 / レアメタルフリー / エピタキシャル成長 / 表面界面 / 垂直磁気異方性 / 光電子顕微鏡 / 放射光 |
Research Abstract |
レアメタルフリー磁性材料L10-FeNiは高い磁気機能を有し、なおかつ希少金属を用いないことから、次世代自動車のモーター材料として高い注目が集まっている。平成25年度は、SPring-8に設置された光電子顕微鏡装置と、平成24年度に建設を進めた試料準備槽を組み合わせて活用し、L10-FeNiの初期成長過程と磁区構造の相関を議論した。実験の結果、垂直磁化を有する領域の確認に至ったので下記に報告する。 我々は基板を500℃に加熱しながら、Arイオンボンバードメントによる表面スパッタを行うことで、基板のステップバンチングを促進させた。これにより約5um程度のテラス領域と、数100nmのステップ領域に明確に区分することができた。 次にFeとNiを交互積層することを行い、磁区構造の膜厚依存性を計測した。2MLの領域では磁区コントラストは観測されなかったが、4ML以上で強磁性の磁区構造が観測された。磁区構造のサイズはおおむねテラス幅と同じであった。10ML以上になると、磁区構造は大きく拡張され、20um以上に広がった。これはテラス同士で強磁性的な結合が形成されたものと考えられる。なお、いずれの磁区構造も面内であった。 また、ステップ領域の磁区構造を詳しく解析すると、テラス領域とは異なる微細な磁区コントラストが出現していることが明らかとなった。ステップ領域での磁化方向を決定するために、磁区構造の放射光入射角度依存性を計測した。その結果、ステップ領域の磁区コントラストは角度によらず一定であり、面直磁化を有することが示唆された。 このような一連の実験結果を基に、今後は表面界面磁性分野の一般ユーザーに向けて、広く共用の利用研究の展開を検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画を前倒しして、当初目標であった垂直磁化の確認を行うことができた。計画のほとんどをH25年度に完遂できたことから、自己評価を(1)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、得られた知見をまとめて論文化する。また本装置を活用したユーザー共同研究を模索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
RHEEDシステムが当初予定より安価で導入できたことから、次年度に繰り越した。 繰り越し予算は、試料準備槽の保守および消耗品の購入費用に充てる計画である。
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Research Products
(11 results)