2012 Fiscal Year Annual Research Report
超電導共振器中のマイクロ波を用いた低温分子ビームの操作と基礎物理研究への応用
Project/Area Number |
24684031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
榎本 勝成 富山大学, 理工学研究部(理学), 准教授 (50452090)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 原子・分子物理 / 化学物理 / 素粒子実験 / マイクロ波 / 低温分子 / 超伝導共振器 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超伝導共振器中で大幅に増強されたマイクロ波を用いて、低温分子ビームを集束・減速し、高指向性・低速の低温分子ビームを実現し、低温分子ビームを用いる高エネルギー物理学の精密測定に寄与することである。期間の前半で、マイクロ波の定在波と極性分子の相互作用(acシュタルクシフト)を利用し、共振器内を通過する分子ビームに対しレンズとして働く集束器や、時間変化するマイクロ波定在波を利用して分子ビームの運動エネルギーを奪う減速器を完成させる計画である。 今年度では、昨年度までに行っていた超伝導共振器の性能評価と、分子ビームの集束・減速の原理について論文をまとめ、発表した。これを基に、全長約50cmの超伝導共振器を作成し、実用上十分な集束・減速能力をもつシステムを組上げ中である。また、ブリティッシュ・コロンビア大学との共同研究により、逆回転ノズルと呼ばれる低速分子ビーム源を用いて、液体窒素温度での銅製の共振器を用いた実験で分子の集束の効果を確認した。 また、分子ビームの予備冷却を行うため、低温金属セル内で固体ターゲットにパルスレーザーを照射して局所的・瞬間的に分子気体を生成し、約4Kのヘリウムガスと衝突させてセルの壁の小孔から噴出させることで、中速度、低温の分子ビームを得るバッファーガス冷却法の開発を進めた。一酸化鉛(PbO)をターゲットとして用い、約4Kでの低温PbO分子気体の生成に成功した。検出はレーザー誘起蛍光法とFM変調吸収分光法を用い、どちらの手法も有効であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既存の液体ヘリウムクライオスタットに合わせて共振器等の装置を作成しており、少し不便な構造になっている。そのため熱流入や真空シール部からのリークの修理等に時間がとられ、計画よりやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、更新を計画していたマイクロ波信号発生器について、現有のものが不調ながらも部分的に使用可能であったため、昨年度は購入を見送ったが、今年度には購入する予定である。
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Research Products
(5 results)