2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24684032
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千葉 文野 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (20424195)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高分子 / 高圧力 / X線回折 / 液体液体転移 / 化学物理 / ソフトマター / 構造解析 / 圧力誘起相転移 |
Research Abstract |
平成25年度の日本物理学会(2013年秋季大会、徳島大学 常三島キャンパス)にて、高分子系で2種類のガラス固体を作製可能であることを発表した。X線回折によって室温常圧において測定した内容を主として報告した。 平成25年度に進めた実験では、広島大学大学院総合科学研究科教授からお借りした高圧配管パネルを、24年度に製作したPCDW-IIという高圧装置に接続し、アルゴンガスを用いてサンプルに圧力をかけることに成功した。実験は慶應義塾大学の他に、広島大学大学院総合科学研究科の実験室にて実施している。加圧方式は、ガスで直接にサンプルを加圧するのではなく、ピストンの面積比を用いてガス圧を更に高圧に変換する手法を採用し、減圧にも制御が効くよう、ピストンを戻す方向にもガス圧で加圧可能としている。加熱は外熱式とし、専用ヒーターを新しく製作した。現段階では圧力校正が途上である。従来の高圧装置を用いて取得したデータについては論文を投稿し、現在改訂中である。 高分子系について、構造や物性の圧力依存性が、液液転移のような現象によって急激に変化する様子を捉えることを目指すと、分子量が大きく鎖長の分散の小さいサンプルが望ましい可能性がある。また立体規則性も重要であろう。しかし、圧力依存性に興味の持たれるPoly(4-methyl-1-pentene) (P4MP1)の場合、立体規則性や鎖長の制御されたサンプルの入手が大変困難である。そこでPoly(N-isopropylacrylamide) (PNIPAM)について、再実験をPCDW-IIを用いて実施することとし、分子量やタクティシティが制御されたサンプルの入手を模索したところ、入手可能となった。PNIPAMについてはフラクショネーション法も検討することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の英国滞在によってスケジュールが全体として遅れているが、この滞在によって本研究の応用展開を具体的に計画可能となったことを考えると大変良い機会であった。 平成25年度は、サンプル加圧に成功し、これまでより鎖長や立体規則性の制御されたサンプルの入手も可能となったので、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに取得したデータは、7月にポルトガルで開催される国際会議Liquids 2014 - Liquid Matter Conferenceにて発表予定である。加えて、現在投稿済みで改訂中の論文を完成させるほか、PNIPAMについて新しく論文を投稿する予定となっている。 実験については、平成26年度は5月までに、引き続き広島大学大学院総合科学研究科にて圧力校正を完了させる。PNIPAMサンプルは福岡大学より入手する。また、自分でも鎖長を揃え分散を小さくするため化学実験を福岡大学の准教授にご指導いただいて実施する。6月にいくつかの設備でX線回折実験を行う手続きを進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者のライフイベント(妊娠および早期流産)によって計画に多少の遅れが生じたため。 高圧実験に必要な圧媒体を切削する簡易NCフライス盤を2014年4月に発注予定です。 これによって、最終年度は資金的に少し切迫しますが、これまで手動で削りだしていた部品の製作が自動化され、研究の最終段階が加速できることに期待しています。
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Research Products
(8 results)