2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24684032
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千葉 文野 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (20424195)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高分子 / 液体 / 高圧力 / 液体液体転移 / 石英ガラス / ポリアモルフィズム / 圧媒体 / 多孔性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、SiO2ガラスと高分子isotactic poly(4-methyl-1-pentene)(P4MP1)の溶融体の類似性に注目し、以下の研究を行った。 SiO2と高分子P4MP1には、いくつかの共通点がある:(1)不規則構造から不規則構造への圧力誘起構造変化が報告されている。(2)結晶が圧力誘起アモルファス化する。(3)X線回折等で得られる構造因子S(Q)の第一ピークが尖鋭であり比較的低波数にみられ、このピークは加圧に伴い顕著に低下するとともに高波数にシフトする。(4)SiO2ガラスと高分子P4MP1溶融体には空隙があることが知られ、これが潰れることが圧力誘起構造変化に本質的である。S(Q)の第一ピークの起源は、空隙の存在と関係している。 これらの類似性を踏まえ、我々はSiO2ガラスについて近年報告されている、構造変化の圧媒体依存性が、高分子P4MP1の溶融体においても見られるのではないかと予想した。つまり、SiO2ガラスは、ヘリウムを圧媒体として用いた場合に、圧力変化が顕著に抑制されることが、2011年に発見されているが、このような現象が、高分子P4MP1の溶融体においても見られるのではないかと予想した。 ヘリウムガスによってP4MP1の溶融体を270℃において1.8kbarまで加圧し、X線回折測定を行ったところ、予想どおり、ヘリウムガスによる加圧では顕著に圧力変化が抑制されることを見出した。また、圧力変化は可逆であった。このような、圧媒体であるヘリウムが、空隙に導入されて圧縮しにくくなる(固くなる)という現象は、ゼオライトやフラーレンなどの空隙のある固体でこれまで報告されてきた。我々はこの現象が液体においても見られることを初めて示した。P4MP1溶融体は、多孔性液体といえるのかもしれない。 なお、研究代表者の出産(平成27年1月)のため研究期間を1年間延長した。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)