2014 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸の異性体レベル安定同位体比が明らかにする有機化合物と生命の大連鎖
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24684041
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
力石 嘉人 独立行政法人海洋研究開発機構, 生物地球化学研究分野, 主任研究員 (50455490)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アミノ酸 / 光学異性体 / 安定同位体比 / 食物連鎖 / エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,昨年度に引き続き,アミノ酸の光学異性体の炭素同位体比測定法の開発(平成25年度の後半に開発の道筋ができている)を進めた。アミノ酸の炭素同位体比測定は,この20年間,精製プロセス(イオン交換カラム処理など)と誘導体化の際の同位体分別(同位体組成の変化)を,人為的にコントロールすることができず,精度の悪い結果しか得られなかった。しかし,平成25・26年度の研究の結果, 1. HPLCを用いたアミノ酸の粗精製の徹底,2. 界面活性剤の存在下でのアミノ酸の誘導体化,3. NaHCO3飽和溶液を用いた洗浄とさらなる精製,4. 回収率向上のための条件検討と機器改造(デットボリュームの削減等),5. 同位体比測定器(GC/IRMS)のGCカラムの最適化,の検討により,以下の3つの大きな成果が得られた。 (1) 誘導体化時に生じる同位体分別を最小化および人為的にコントロールすることに成功(同位体分別をゼロにすることは出来ないが,得られた測定値に対して,マスバランス計算による補正を行うことができるようになった) (2) 前処理操作における回収率を劇的に向上,および一定化することに成功(従来の0~80%に対して,常に80~100%になることを達成した) (3) 標準試料に対して,アミノ酸の同位体比を±0.5~0.7‰以内で測定することに成功(従来は,4~8‰の誤差があった) 平成26年度の後半2ヶ月(平成27年2月より)には,代表試料として海棲の貝の筋肉を用いて,実試料への応用研究を開始しており,現在のところ,順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,平成26・27年度に実試料の測定を行う計画であった。しかし,平成25年度に計画していた炭素同位体比の測定法開発では,技術的に様々な問題が生じて,その対応に平成25・26年度の2年を費やしてしまった。平成27年度には,できるだけ実試料での測定を進めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した測定法を用いて,実試料への応用研究を進める。 1. 光学異性体が多く含まれているバクテリアの培養株およびキチン質を持つ天然生物,2.海洋表層堆積物(相模湾と日本海),3. ハヤブサ2計画を念頭に,マーチソン隕石などの炭素質隕石を計画している。
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Causes of Carryover |
本年度に研究費の効率的な執行を心がけたことと,当初の計画にある実試料の測定が,測定法開発の遅れから本年度中に実施できなかったため,未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は,実試料の測定に必要な消耗品(試薬・器具・測定機器の消耗品)の購入に充てる。
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