2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24685007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
依光 英樹 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00372566)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | チオフェン / トリフェニレン / クロスカップリング / C-Hアリール化 / スルホニウム塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初、チオフェンからピロールを合成する反応を開発するべく検討を開始したが、予想に反し、トリフェニレンが生成することを見いだしたので、このトリフェニレン合成についてまず検討を行った。 ジベンゾチオフェンを4-ヨード―1-クロロブタンと銀ヘキサフルオロアンチモナートを用いてクロロブチル化してスルホニウム塩とし、これをテトラアリールボラートと中性条件下パラジウム触媒による鈴木宮浦クロスカップリング反応を行った。その結果、炭素―硫黄結合切断を伴うアリール化が進行し、対応するターフェニルがほぼ定量的に得られた。ボラートとスルホニウム塩のクロスカップリングは世界初である。スルホニウム塩が塩基性条件下不安定であることから、中性条件下で反応を行えるボラートを用いたのが鍵である。 得られた生成物のクロロブチル基を同様の条件下で再度スルホニウム塩を合成した後、パラジウムSPhos触媒と炭酸カリウムの存在下1,2-ジメトキシエタン中で加熱したところ、目的の分子内直接アリール化が進行し、トリフェニレンを合成することができた。有機硫黄化合物を用いるCH活性化の世界初の例である。 この方法は、合成の困難なトリフェニレンの自在合成法であり、有機合成上その重要性は大きい。機能性有機材料ならびに医農薬品の合成法を一変する研究につながるものである。また遷移金属触媒の新しい触媒活性の発見の見地からも意義深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ピロールよりも合成の難しいトリフェニレンの自在合成を開発することができ、より大きな広がりを見せている。
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Strategy for Future Research Activity |
トリフェニレン合成の論文化を進めるとともに、ピロールをはじめとするヘテロ五員環の合成を行う。
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Causes of Carryover |
当初チオフェンからピロールを合成する反応を開発すべく研究を開始したが、予想に反しフェナントレンが生成することを発見し、フェナントレン合成を優先して研究を行った。その結果、当初の予定の配位子や遷移金属触媒の購入が不要となり、繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、ピロール合成用の配位子と触媒を購入するために使用する予定である。
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