2012 Fiscal Year Annual Research Report
イミン架橋制御により動的挙動と動的平衡を制御するダイナミック分子システムの開発
Project/Area Number |
24685008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
河合 英敏 東京理科大学, 理学部, 准教授 (50322798)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イミン / 動的共有結合 / 超分子 / アロステリック効果 / ロタキサン / 分子認識 / 水素結合 / 分子マシン |
Research Abstract |
本研究では、動的共有結合であるイミン結合の平衡状態を構造および運動性の制御を様々な分子モチーフに適用することで、複数の意味からなる"動的構造制御"システムを構築することを目的とし、以下の研究を行った。 平成24年度においては、(1)刺激や環境変化によって、止まる・進む・回るなど「分子の"動的挙動"を制御する分子マシン」の構築として、 (A)これまでに開発してきたイミン架橋型ロタキサンと光駆動型ロタキサンを異種接合することにより複数の外部刺激によりスイッチングするゲート制御型ロタキサン分子シャトルの構築を目的とした研究を行った。それぞれ他方の構成要素(ステーション)を含んだロタキサン分子を構築し、単独でのスイッチング挙動調査から相互作用部位の独立性の確認を行った。 (B)アゾベンゼンを軸分子として組み込んだイミン架橋型擬ロタキサン分子の構築に成功し、光異性化による加水分解平衡制御の調査を行った。 (C)回転制御分子の構築として、キラルなヒドリンダセン骨格を二量化したビヒドリンダセンおよびビヒドリンダセニルアセチレンを合成し、その軸回りの回転挙動調査およびアロステリック会合能の調査を行った。 (2)刺激や環境変化によって"動的"に構造組成を制御する「ゲスト適応型分子レセプターの"動的"構築」を目的とした研究として、(D)剛直な骨格をもつ各種ジアルデヒドスペーサーを新たに構築し、イミン形成に基づくベルト型マクロサイクルの構築を行い、スペーサーユニットの構造的特徴と生成するマクロサイクルの効率との相関関係を調査した。また、(E)これらマクロサイクルの分子認識部位となる新規ヒドリンダセンレセプターの構築も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で実施している「分子の"動的挙動"を制御する分子マシン」および「ゲスト適応型分子レセプターの"動的"構築」においては、比較的多様な超分子モチーフの開発を目的としている。初年度において複数の研究課題を同時に実施することができ、それぞれの研究目的を実現するための基本分子ユニットの合成と調査を順調に進めることができた。今後、これらを組み合わせることによる機能発現を行い、新たな超分子システムとしての確立を目指す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に実施してきた個々の超分子モチーフの開発をさらに推し進めるとともに、これら超分子モチーフを組み合わせることによる高次構造形成能および刺激に応答した構造変化を検討していく予定である。 この際、分子の構造変化をどのように評価し構造決定するかが課題となる。特に、分子の組成(分子式)が変わらず構造のみが変化した構造異性体の同定は、NMRや質量分析からでは困難であることがわかってきた。そのため、X線構造解析装置を新たに導入することで構造決定における効率性を向上させていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度において新たにX線構造解析装置を導入する予定であるが、25年度の補助金額では賄いきれない可能性があったため、24年度分の基金分の予算の一部を25年度に繰り越すこととした。これにより25年度における備品導入に加え、研究を実施するのに必要な消耗品購入や成果報告にかかる旅費を支給することが可能になると考えている。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Hydrindacene-Based Acetylenic Macrocycles with Horizontally and Vertically Ordered Functionality Arrays2013
Author(s)
H. Kawai, T. Utamura, E. Motoi, T. Takahashi, H. Sugino, M. Tamura, M. Ohkita, K. Fujiwara, T. Saito, T. Tsuji, T. Suzuki
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Journal Title
Chemistry A European Journal
Volume: 19(14)
Pages: 4513-4524
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] 7,7,8,8-Tetraaryl-o-quinodimethane Stabilized by Dibenzo-annulation : A Helical π-Electron System that Exhibits Electrochromic and Unique Chiroptical Properties2013
Author(s)
T. Suzuki, Y. Sakano, T. Iwai, S. Iwashita, Y. Miura, R. Katoono, H. Kawai, K. Fujiwara, Y. Tsuji, T. Fukushima
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Journal Title
Chemistry A European Journal
Volume: 19(1)
Pages: 117-123
DOI
Peer Reviewed
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