2012 Fiscal Year Annual Research Report
中空錯体をテンプレートとする生体分子クラスター合成
Project/Area Number |
24685010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 宗太 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40401129)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超分子錯体 / 生体機能関連化学 / 分子の認識及び相互作用 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究においては、数ナノメートルの球状分子の表面を生体関連分子で覆い、生体界面を模倣した、高度に構造制御された生体分子クラスターを合成し、その特異な相互作用の発現を探索する。独自に開発してきた、自己集合性球状錯体を基盤骨格とし、選択的な官能基化法を鍵反応として使うことで、生体関連分子を錯体表面に整然と、かつ高密度に集積した錯体を合成する。この分子設計した生体模倣クラスターを自在に使い、溶液中または基板表面での分子認識や分子配列を達成する。 具体的には、①生体分子を表面に修飾した錯体の合成を行うと共に、②生体分子クラスター錯体の基板表面での高密度集積を行い、③溶液および固体表面の二つの状態での生体界面の活性評価をめざす。 本年度、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドペプチドa-betaを集積しその線維化を促進すると提唱されているガングリオシドGM1という生理活性糖鎖に着目し、この糖鎖部位を錯体表面にクラスター化する検討を行った。種々の条件検討の結果、短い工程でガングリオシドGM1の糖鎖部位を配位子に連結する反応を確立することができ、さらにこの配位子を用いた錯体合成にも成功した。このように有機合成の手法によって精密合成された配位子には、1つのGM1糖鎖が共有結合を介して確実に連結されており、この配位子を使うことで、Pd12L24組成の球状錯体(L: 配位子、ligandの略)を構築した場合に、およそ直径3.5 nmの球状錯体の表面において、配位子と同じ数だけの24個のGM1糖鎖が整然と配置された精密糖鎖クラスターを合成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガングリオシドGM1糖鎖を修飾した配位子の合成および、その配位子を使った錯体の合成経路を確立することができ、その生体機能探索を開始することができた。予想以上に、錯体の構造決定は困難であるが、着実に、新しい構造決定法の探索と従来法の改善を進めてきており、研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
合成法を確立したGM1クラスターの生体機能探索を進めるとともに、類似の手法を適用し、他の生体分子クラスターの合成を行い、独自構造に基づく特異な機能発現をねらう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高感度な解析装置の利用により,化学反応のスケールダウンに成功したため,高価な試薬を当初の予定ほど使わずにすんだため. 合成に必要な有機・無機・生体関連分子の試薬を購入する.
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