2012 Fiscal Year Annual Research Report
機能分子合成を指向した化学選択的炭素-炭素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
24685015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大宮 寛久 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (40508876)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 銅触媒 / 不斉合成 / アリル位置換反応 / 共役付加反応 / 有機ホウ素化合物 / C-H官能基化 / 機能分子合成 / 光学活性化合物 |
Research Abstract |
機能分子合成を指向した炭素-ホウ素/炭素-水素結合の高選択的炭素炭素結合形成反応を開発する。アリル位置換反応およびカルボニル,共役付加反応を標的とする。特にアリル位置換反応は対応する飽和求電子剤の反応よりも容易であり、生成物のアルケン部位を幅広く誘導化できることから重点的に検討する。そして、これら手法を駆使した複合系機能性物質や多官能性生体関連分子合成に挑戦し有機合成法としての地位を確立していく。本年度は、幾つかの高選択的炭素-ホウ素/炭素-水素結合変換反応の開発を検討し以下に述べるような大きな成果が得られた。 銅触媒により、電子不足(ヘテロ)芳香族化合物類と光学活性第2級リン酸アリル類を用いたC(sp2)-Hアリル化反応がγ位および立体特異的(1,3-anti)に進行することを見出した。本手法は、電子不足(ヘテロ)芳香族化合物の分子間2級アルキル化を立体選択的に達成した初めての例である。 銅触媒による9-BBN-Hのヒドロホウ素化によって調製されたアルキルボランと光学活性第2級リン酸アリル類の立体分岐型カップリング反応を開発した。つまり、嵩高さの異なるアルコキシド塩基の選択により、1,3-anti/1,3-synの立体化学を容易に転換できる。 9)BBN型アルキルボランのイミダゾリルα,β-不飽和ケトンに対する共役付加がC2対称型不斉銅/N-ヘテロサイクリックカルベン錯体触媒存在下、高いエナンチオ選択性で進行することを見出した。また、銅/(R)-DTBM-SEGPHOS錯体触媒とMeOK存在下、Z体の塩化アリルと9(BBN型アルキルボランのエナンチオ選択的アリル位置換反応の開発にも成功した。これらは、アルキルホウ素化合物のエナンチオ選択的共役付加およびアリル化反応に世界で初めて成功した例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、幾つかの炭素.ホウ素/炭素-水素結合の高選択的炭素炭素結合変換反応の開発に成功した。これら開発された変換反応は高い化学、立体選択性を有しており、複合系機能性物質や多官能性生体関連分子合成の強力な手法として期待が持たれる。
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Strategy for Future Research Activity |
炭素-ホウ素/炭素-水素結合の高選択的炭素炭素結合変換反応の開発を継続して行う。また既に開発された反応を用いて複合系機能性物質や多官能性生体関連物質合成も同時進行で検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究では、複合系機能性物質や多官能性生体関連分子合成を当初の予定ほど実施しなかった。したがって関連の一部試薬や実験用消耗品を購入せずに済んだため、当該助成金が生じた。これら研究は次年度重点的に実施するため、当該助成金を翌年度の研究経費と合わせて使用していく。
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