2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24685017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植村 卓史 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50346079)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高分子 / 多孔性金属錯体 / 配向制御 |
Research Abstract |
配位子混合型の錯体である[Cu(bdc)1-x(dvbdc)x(ted)0.5]n(1)(bdc=benzene-1,4-dicarboxylate,dvbdc=2,5-divinylbenzene-1,4-dicarboxylate,ted=triethylenediamine)を様々なxの値で合成した。1はXRPD測定から、その構造が[Cu(bdc)(ted)0.5]nと同様のものであることが確認され、dvbdcが骨格内に分散していることが示唆された。1が有する一次元細孔内にビニルモノマーと重合開始剤を導入し、窒素雰囲気下70℃で重合を行った。XRPD測定から重合後もホスト錯体はその構造を保持しており、TGA測定から重合の進行が確認された。得られた複合体をNa-EDTA水溶液と塩酸で処理することによって高分子を単離した。TGA、IR測定から、ホスト錯体が十分に除去され、dvbdcにより架橋された高分子であることが確認された。 本手法により合成されたポリスチレン(PSt)のDSC測定を行ったところ、架橋性配位子xの値が増えていくに従って、PStのガラス転移点が上昇していく傾向が見られた。このような挙動は通常のクロスリンク型PStでも見られる現象であり、我々が合成した高分子も架橋構造を有していることが示唆された。 また、SEM測定より単離後のPStのモルフォロジーは、元々のホスト錯体と変わらないことが分かった。つまり、巨視的な高分子鎖の配向が保持されていることが示されたので、窒素吸着測定を行うと、通常のバルクPStでは見られない、メソサイズの空間を有していることが示唆された。つまり、このような空間が存在することで、単離後のPStの形状が保持されているということが示唆された。 そこで、詳細な配向状態を調べるために高分解能TEM測定を行った。その結果、ポリスチレンが1軸方向にきれいに配列している像が確認された。FFT解析により、高分子鎖の配列を調べてみると、ホスト錯体のtetragonalsymmetryを反映した配列をしていることが示唆された。また。暗視野TEM測定より、PSt粒子の結晶性部分の大きさの測定を行うと、サブミクロンレベルの広い範囲に渡ることが示された。これらの結果から、PStは比較的長距離のオーダーで配向を保持していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビニル基導入型の多孔性金属錯体を用いることで、高分子の配向制御合成に成功したことから、順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
単純な一次元配向だけではなく、多孔性金属錯体の構造や次元性を考慮することで、様々な配列・高次構造を有する高分子の合成が可能になる。他の機能性高分子を本手法により合成することで、高度に配向の規制された材料群の創製を行う。これにより、通常では見られない物性の異方性や向上、また材料自体の高強度化も可能になると期待できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
種々の多孔性金属錯体に架橋性配位子を導入を行うために様々な試薬類や溶媒の購入が必要となる。また、得られる高分子の特性が顕著であることが期待されるので、様々な学会での発表を行うための旅費も必要となる。
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