2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24685020
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田代 健太郎 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (40332598)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 多核金属錯体 / タンパク質 / 二次構造 |
Research Abstract |
本年は、タンパク質の二次構造に相当するコンフォメーションを有する金属錯体アレイの設計指針を得ることに注力した。まず、アラニンと配位子としてターピリジンを導入したチロシンとから構成される種々のペプチドシークエンスを作成し、その二次構造をCD、IRスペクトルやSEM測定によって調べたところ、ペプチド鎖中におけるチロシンとアラニンの割合やペプチド鎖長を制御することにより、αヘリックス、βシート、βターン構造を作り分けられることを見いだした。次に、これらのシークエンスの配位子部位が金属錯体化された金属錯体アレイを合成し、その二次構造について調べたところ、αヘリックスに関しては構造の安定性を全く損なうこと無くRu(II)、Rh(III)、Pt(II)等種々の錯体を部位特異的に導入できることが分かった。これとは対照的に、βシートを形成するペプチドシークエンスに関して上記の金属錯体を導入した場合、βシート特有のCDパターンは完全に消滅することが分かった。以上の結果は、タンパク質に金属錯体を導入した場合に生じる構造不安定化の程度に極めて大きな構造特異性が存在することを示唆しており、タンパク質の錯体による修飾における重要な基礎的知見を与えるものである。また、金属錯体アレイの触媒としての性能を評価するため、固相合成用のレジンに連結した状態で、固定化触媒としての評価を行った。その結果、光水素発生、エポキシ化、アゾ化合物の二量化の触媒として機能することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な目標であった「特定の二次構造を自発的に形成する金属錯体アレイの具体例の創出」を達成し、関連する事項において十分な知見を得たため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、二次構造を発現する複数のシークエンスを連結した金属錯体アレイを構築し、そのフォールディング挙動を検討する。
|